リノベーションがホテル予約の理由に。訪日客の集客に成功した、京都の事例を紹介します

近年、ホテル業界ではリノベーションホテルが注目を集めています。間取りや内装を変え、コンセプトも新たに設定することで、新たな宿泊体験や価値を提供できることが魅力です。

ホテル業界では、2020年の東京オリンピックのときに「ホテルが増えすぎて余る」と予想されています。

2016年頃まで、宿泊業界では東京オリンピックでのホテル不足が心配されていました。急増するインバウンド客に対して、宿泊施設が足りていなかったのです。

しかし、みずほ総合研究所が調査した2018年のデータでは、ホテル不足は緩和するどころか、余るという結果に。クルーズ船での宿泊や民泊など、新たな宿泊スタイルの出現によって、インバウンド客が分散すると予想しているのです。

【出典】みずほ総合研究所「インバウンドの新たな注目点とホテル不足の試算アップデート」

宿泊先の選択肢が増えることで、インバウンドの集客のためにはさらなる努力が必要に。その差別化として、リノベーションホテルは有効な手段の1つです。

今回は、リノベーションホテルの概要と、インバウンド客獲得のために必要な5つのことをお伝えします。また事例として、空き家問題も解決した京都のリノベーションホテルをご紹介します。この記事が、インバウンド客の集客に役立てば幸いです。

そもそもリノベーションホテルとは?

リノベーションホテルとは、古い建物を改装して再オープンするホテルのことです。中には学校や銀行を改装することもあり、他のホテルとの差別化にもつながります。

ここではリノベーションホテルの定義と、どんな建物をリノベーションしているのかをご紹介します。

古い建物を改装し、新たな価値を付けたホテル

まず、リノベーションは「既存の建物を修復し価値を高める、もしくは新たな価値を作り出す」という意味です。間取りからコンセプトまで、大きく作り変えたホテルをリノベーションホテルと呼びます。

リノベーションは、「リフォーム」と混同されることが少なくありません。しかし、リフォームは「間取りは変えずに新築に近づける」ことです。元の間取りを残しながら改装するため、見た目に大きな変化はありません。

リノベーションでは、見た目から内装、コンセプトまで変わります。新しいコンセプトを持って生まれ変わることで、今までにない宿泊体験や価値の提供が可能です。

学校や銀行、商業施設もホテルに改装

リノベーションホテルは、使っていない学校や銀行、商業施設を使うこともあります。

例えば、北海道・函館にある「HakoBA 函館 -THE SHARE HOTELS-」は、銀行と美術館を改装。ホテル内のブックラウンジには、当時の装飾をそのまま使用しています。ラウンジでは現在、地元のアーティストとコラボしたイベントなどが開催され、お客さまを飽きさせません。

このように、リノベーションホテルでは昔の建物や装飾を使いながら、今までにない形のホテルを作ることができるのです。

リノベーションホテルが業界内での差別化になる

リノベーションホテルで新しい宿泊体験を提供することは、他社との差別化につながります。

先述の通りホテル業界では、2020年の東京オリンピックのときに「ホテルが増えすぎて余る」と予想されているのです。

どこも予約できるとなれば、宿泊客は各ホテルを比較しはじめます。このときに、テーマやコンセプトを持ったリノベーションホテルがあれば、今までのホテルとの差別化出来るに違いありません。

次の項目で、どのような工夫をすれば差別化につながるのか、5つの例をご紹介します。

リノベーションホテルがインバウンド客を呼び込むために必要な5つのこと

インバウンド客は、日本らしさを感じつつ自国のようなリラックス感をホテルに求めています。ここでは、満足度を高めるためにチェックしておきたい5つのことをお伝えします。

その1:日本を感じる内装やデザイン

旅行中、観光客は「日本らしさを感じたい」と考えていることが多いです。その需要に応えるためにも、ホテル内に日本らしい色使いや写真の展示などを用意しましょう。

例えば、フロントの背面に「幅5メートル×高さ1.4メートル」のモニターを設置したホテルがあります。ここに季節感あふれる映像を流すことで、日本の四季を表現。「これはどの地域?」など、宿泊客との会話のきっかけにもなっているようです。

その2:英語や中国語、タイ語など多言語での対応

インバウンド客の国籍は、アジアから欧米、中南米など以前よりも多様化しています。より多くの言語で対応するために、外国語を話せるスタッフを準備しましょう。自国の言葉で会話する方が、言葉が通じないストレスを軽減できます。

また、多言語対応のできるスタッフをそろえても、宿泊客にアピールしなければ意味がありません。ネームプレートに話す言語のマークを付けるなど、分かりやすい工夫も忘れないでください。

その3:複数人で泊まれるダブルやツインルームを増やす

インバウンド客は、友人、カップル、家族といった複数人で旅行することが多いです。そのため、ダブルやツイン、ファミリー向けのような、2人以上で泊まれる部屋を多めに用意しましょう。

もちろん1人旅で訪れる外国人もいますが、彼らはゲストハウスに宿泊することがほとんど。というのもシングルルームは割高なので、人気がありません。シングルルームを減らし、ダブルやツイン、ファミリー向けの部屋を増やすことで、部屋あたりの単価をあげることもできます。

その4:祈祷室の用意など宗教の習慣が守れること

イスラム教では「1日5回のお祈り」というルールがあります。イスラム教徒は旅行先でもお祈りをするため、専用の祈祷室を用意しましょう。

祈祷室を用意している空港は多いですが、ホテルではまだまだ用意されていません。祈祷室があるだけでも、イスラム教徒がホテルを選ぶときの決め手になるはずです。

その5:早朝・深夜便までの待合室

旅行でお客さまが「中途半端な時間に到着したけど、チェックインまで時間をどうやって潰そう…」となることもあります。そのため、チェックインや深夜の出発までの待合室を用意し、お客さまの負担を減らしましょう。

近年、アジアからのLCC便が増えていますが、多くが早朝・深夜の発着です。そのため、どうしても到着が早すぎる、フライトまで待てる場所がないなど、不便が残ります。さらに旅行中は荷物も多いため、動き回ることもできません。ホテル側が待合室を用意すれば、ゆっくりと休みながら待つことができます。

このように、旅行中でもストレスを感じない環境を用意することで、インバウンド客の満足度を高めることができるはずです。

ここまでリノベーションホテルが訪日客を呼び込むためのチェックポイントを紹介しました。次は、実際の事例を見ていきます。

京都の事例:インバウンド向けリノベーションホテルが空き家問題を解消

実際の事例として、京都のリノベーションホテルをご紹介します。このホテルは、観光地に近いワンルームマンションや町家をホテルに改装し、インバウンドの集客に成功しています。

観光地に近いワンルームマンションを改装

2017年9月1日、京都市内にリノベーションホテル「Rinn Gion bishamon」(以下、鈴)がオープンしました。訪日外国人がメインターゲットということで、八坂神社や建仁寺がある祇園に建っています。

このホテルはワンルームマンションを改装したため、エントランスや室内は、普通の住居のような構造です。しかし、客室にはそれぞれ抹茶色、小豆色、藍色といった和風な色を使用して、日本らしさを演出。さらには、和紙を使った小物を置くなど、あらゆる所で空間演出の工夫をしています。

空き家である町家を使うことで地域の問題も解消

鈴は、空き家となっている町家をホテルにしたことで、地域の問題も解決しています。

京都では、空き家がなかなか減らないことが問題となっています。京都市のデータによると、2013年時点で約10万戸以上の空き家があり、京都府にある住居の約14.0%にものぼります。

【出典】京都市「空き家の現状データ」

しかし、空き家の多くは古くからある町家。鈴はここに注目し、Rinn Gion Bishamonのような「ホテルタイプ」の他に「京町家タイプ」を用意。京都らしい見た目を残しながら宿泊施設にリノベーションすることで、空き家の数を減らしました。39軒の内、31軒が和風の「京町家タイプ」のホテルになり、インバウンド客へのアピールにもつながっています。

このように、リノベーションホテルで他のホテルと差別化するだけでなく、地域の問題を解決することもできるのです。

リノベーションホテルで差別化し、インバウンドの集客を成功させよう

リノベーションホテルは、「既存の建物を修復し、新たな価値を作り出したホテル」のことです。学校や銀行を改装することもあり、今までのホテルとは違った宿泊体験を味わえることが大きな魅力です。

特に、宿泊施設が余ると予想されている2020年に向けて、ホテルは他社との差別化をしなければ集客は難しいです。その差別化として、リノベーションは1つの価値になります。

インバウンド客に宿泊してもらうためには、

  • 日本らしい空間の演出
  • 多言語対応のできるスタッフ
  • ダブルやツインルーム
  • イスラム教徒のための祈祷室
  • LCC利用客の待合室

という5つの対応が欠かせません。日本を感じつつ、自国にいるかのようにリラックスした空間を演出することで、インバウンド客の満足度が高まるはずです。

特に、京都のホテル「鈴」は、日本らしい空間の演出と立地の良さで、インバウンド客に人気のホテルとなりました。また、町家を改装することで、京都市内の空き家を減らすことにも貢献しています。

インバウンド客が満足できるホテルを作ることが、他のホテルとの差別化や地域の問題解決にもつながるのです。

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