医療滞在ビザとは?外国人の受け入れを増やせば、日本の医療サービスを海外に広めるきっかけにも

病院に行くと、外国人の患者を見かけることが増えたと感じる方もいるのではないでしょうか。彼らは観光客だけでなく、治療や手術を目的として日本に滞在する人もいます。

外国人が日本の病院を受診する場合、「医療滞在ビザ」が発給されます。このビザがあれば外国人は、日本で治療や検診、人間ドックなどを受けることができ、身の回りの世話をする同伴者を連れてくることも可能です。

このビザの発給によって政府は、

  • 日本の医療サービスを海外展開する
  • 訪日外国人が増える

ことのきっかけになると予想しています。

しかし医療滞在ビザで外国人が増えても、「英語ができないから診察できない」「外国人への対応が分からない」など、不安もありますよね。

そこで今回は、

  • 医療滞在ビザとは
  • 医療滞在ビザの手続きや必要な書類
  • 外国人の患者を年間40万人受け入れるタイの病院

をご紹介します。外国人の対応となるとついつい難しく感じてしまいますが、多言語での対応や予約の手配など、その方法は意外と簡単です。

まずはこの記事を読んで、医療滞在ビザについてざっくりと理解しましょう。

医療滞在ビザとは、外国人が日本の医療機関で診察・治療を受けるためのビザ

医療滞在ビザ(以下、医療ビザ)とは、日本の病院で医療行為を受ける外国人に発給されるビザのことです。このビザがあれば、国籍に関係なく日本の医療機関で診察や治療を受けることができます。

医療滞在ビザの対象となる医療行為

医療ビザでは、以下のことができます。

  • 病気の治療
  • 手術

さらには、

  • 人間ドック
  • 検診
  • 温泉湯治

など、予防や療養にも適用されます。ただし美容整形や、歯のホワイトニングなど審美歯科は対象外です。

医療滞在ビザで外国人は最長1年間、日本の医療サービスを受けることができる

医療ビザの対象は、海外の富裕層。ビザは患者本人だけでなく、同伴者にも発給できます。この同伴者は親族や、介護士など身の回りの世話をする人でも問題ありません。

有効期限は3年、滞在は1年まで可能です。ただし滞在が90日以上の場合は、入院が前提。90日以内の滞在の場合、ビザの有効期限内であれば何度でも出入国ができる「数次(スウジ)ビザ」になることもあります。

医療滞在ビザの発給が、日本の医療サービスを海外に広めるきっかけになる

この医療ビザの発給は、「日本の医療サービスを観光とともに海外へ広める」という国家戦略の1つです。

もともと日本の医療技術は、世界の中でも優れています。例えば、国民健康保険や社会保険を使った医療システムの健康達成度は、93.4%を記録。これは世界で1位であり、子宮頸がんや大腸がんといった病気でも高い生存率が期待できます。

出典:経済産業省「外国人患者の医療渡航促進に向けた現状の取組と課題について」

外国人を日本の病院で受け入れると、以下のことが期待できます。

  • 日本の医療を海外に展開するきっかけができる
  • 訪日外国人が増える

治療や診察を受ければ、医療サービスや技術のレベルが高いことを周囲の人に広めるはず。この口コミがきっかけとなり、「日本の医療サービスを取り入れたい」と、海外展開につながる可能性もあります。

また訪日外国人の増加も期待できます。政府の目標は「2020年までに4,000万人の訪日外国人を呼び込む」こと。医療ビザの発給によって、この目標により近づくはずです。

医療滞在ビザの申請に必要な書類と流れ

医療ビザに必要な書類は、以下の通りです。

  1. パスポート
  2. 顔写真
  3. ビザの申請書
  4. 医療機関による受診予定の証明書、もしくは身元保証機関による身元保証書
  5. 銀行残高証明書(一定の経済力があることを証明するもの)

これらは滞在日数に関係なく、必ず用意する書類です。滞在日数やビザの種類によっては、

  • 90日以上の入院をするとき:在留資格認定証明書
  • 数次ビザで来日するとき:治療予定表

などの書類を追加する必要があります。

医療滞在ビザの申請の流れ

外国人が医療ビザを申請する際は、「身元保証機関」と呼ばれる日本の国際医療コーディネーターや、旅行会社の協力が欠かせません。

申請の流れは、以下の通りです。

  1. 外務省のリストを参照して身元保証機関に連絡し、受診を依頼する
  2. 身元保証機関を通じて受け入れ先の病院を決める
  3. 身元保証機関に「医療機関による受診等予定証明書及び身元保証機関による身元保証書」を発行してもらう
  4. パスポートなど必要書類を、自国にある日本の大使館や領事館に提出

手続きが完了し、申請が通れば医療ビザが発給されます。

病院が外国人患者の受け入れに消極的な理由とは?

医療ビザの発給によって、日本の病院を受診する外国人が増えると予想されています。

しかし病院側は、まだまだ外国人の受け入れに消極的。経済産業省の調査によると、以下のことが原因です。

  • 医師や看護師、事務スタッフが不足している(23.8%)
  • 院内の案内表示や入院中の食事など、多言語や異文化への対応が難しい(19.8%)
  • 外国語を話す医師や看護師が不足している(19.4%)

ほかには、以下のことが「分からなくて不安」という声もありました。

  • 患者の来日前のサポート
  • トラブルが起きたときの対応

多くの医師や看護師が「外国人の対応に慣れていない」「そもそも人手が足りていない」と感じています。

出典:経済産業省「外国人患者の医療渡航促進に向けた現状の取組と課題について」

一方で、海外では数多くの国が海外から患者を受け入れています。特にタイは医療ツーリズムが盛んで、2015年までに約281万人の医療渡航者を受け入れています。

次でバンコクにある、バムルンラード・インターナショナル病院の事例を紹介します。

タイの事例:医療ビザの発給で約281万人の外国人患者を受け入れ

先ほどの経済産業省のデータによると、タイが受け入れる医療渡航者の数は、2015年で281万人に達しています。特に、バンコクにあるバムルンラード・インターナショナル病院(以下、バムルンラード)には、毎日海外からの患者が集まっています。

バムルンラードは、

  • 30の専門科
  • 538床の入院施設
  • 1,200人以上の医師と約900人の看護師

といった設備や人材を用意しており、東南アジア最大規模の病院と言われています。

バムルンラード病院が行う外国人への対応2つ

バムルンラードが海外からの患者の受け入れに成功している理由は、

  1. 多言語対応
  2. 予約や渡航の手配

に専門スタッフを配置したことだと考えられます。次でひとつずつ解説します。

バムルンラードの対応に関しては、以下の資料を参考にしています。

出典:e-medical tourism「ホスピタルインフォ 第5回バムルンラード病院」

1.多言語通訳サービス:109人の通訳者と多言語を話す医師が患者に対応

バムルンラードでは、109人の通訳者が働いています。日本語の通訳者は19人おり、タイに住む日本人や近隣国から訪れる日本人の患者に対応しています。

医師や看護師には日本とタイのハーフや、2カ国語以上を話す人を積極的に採用。患者は自国の言語で病状や治療方針を聞くことで、安心して治療を受けることができるようです。

2.国際レフェラル・センター:熟練スタッフ16人でEメールの問い合わせに対応

バムルンラードでは毎日、Eメールでの問い合わせが500〜1,000件ほどあります。この膨大な問い合わせには、16人の熟練スタッフが対応。問い合わせ専門のスタッフを配置することで、医師や看護師が業務に集中できる環境を整えています。

また海外事務所が13カ国に19カ所あり、予約や渡航に関する手続きを受け付けています。渡航前にしっかりと準備を進めておくことで、現地で新たな手続きをする必要がありません。

このように対応した結果、1年で訪れる100万人の患者のうち、40万人が外国人の患者です。

日本でも言語や予約にストレスを感じない環境を整えれば、外国人患者がスムーズに受診できるように。さらに日本の医療サービスへの評価が上がり、海外展開をするきっかけになるはずです。

医療滞在ビザで外国人を受け入れることが、日本の医療を海外展開するきっかけになる

ここまでをおさらいします。

医療ビザとは、外国人が日本の医療機関で診察・治療を受けるために発給されるビザです。このビザがあれば、外国人は日本の病院で治療や手術、人間ドックなどを受けることができます。

この医療ビザの発給によって、政府は

  • 日本の医療サービスを海外展開する
  • 訪日外国人が増える

などのきっかけになると予想しています。実際に日本の医療機関でサービスを受ければ、レベルの高さを実感してもらえるはずです。

しかし病院側は、外国人の受け入れには消極的です。というのも、

  • 医師や看護師、事務スタッフが不足している
  • 院内の案内表示や入院中の食事など、多言語や異文化への対応が難しい
  • 外国語を話す医師や看護師が不足している

などの原因があり、「外国人の患者へ十分な医療サービスを提供できないのでは」と感じているのです。

そこで事例として、海外からの患者を積極的に受け入れている、タイのバムルンラード・インターナショナル病院を紹介しました。

バムルンラードでは

  1. 多言語対応
  2. 予約や渡航の手配

に専門スタッフを配置したことで、スムーズな医療サービスを提供。その結果、年間40万人の外国人がバムルンラードを訪れています。

このように、日本の病院でも専門スタッフを配置すれば、外国人へ十分な医療サービスを提供できます。そして外国人患者の満足度が高まれば、口コミなどで「日本の医療サービスはレベルが高い」と広まり、海外展開のきっかけになるはずです。

ほかにも健康維持が目的の観光として、「ウェルネスツーリズム」が外国人から人気を集めています。「健康維持が目的のウェルネスツーリズム。資源豊富な日本で、新たなインバウンド対策になるか?」でくわしく紹介していますので、合わせてチェックしてみてください。

関連記事

  1. バカンス中に地元の寒さを体感できる装置を、デンマークの旅行予約サイトが開発

  2. 健康維持が目的のウェルネスツーリズム。資源豊富な日本で、新たなインバウンド対策になるか?

  3. オプショナルツアーとは?着物体験やスキーなどコト消費をアピールすれば、地方を訪れるきっかけとなる

  4. 『モノ消費からコト消費へ』は本当?訪日外国人の目的別消費額の比較から見るインバウンド効果

  5. VRを使ったインバウンド対策の事例5つ。観光地から小売店、不動産まで最新技術でさらなる集客を

  6. 【インバウンド対策】ニセコにオーストラリア人を集めた方法とは?

  7. 越境ECで日本製品をリピート購入した中国人は40%!リピート購入する理由とは一体何?

  8. スポーツツーリズムでインバウンドの呼び込み!地方都市の成功事例と課題

メールマガジン



PR


インバウンド資料ダウンロード



アーカイブ

人気記事ランキング

おすすめ記事

PAGE TOP