目次
「訪日外国人のレンタカー利用率ってどれくらいなんだろう…」
と感じているインバウンド担当の方。
訪日外国人のレンタカー利用率は、2015年時点で約70万5,000人を突破しています。
一方で、レンタカーを利用する訪日外国人の事故も少なくありません。ケガなども発生しており、事故を防ぐためのマニュアルや看板の用意が必要です。
これらの事故を防ぐ手段を知っておくことで、レンタカーの貸し出しによる地方の集客や活性化が期待できます。
とはいえ、具体的なインバウンド対策や事故対策は、なかなかわかりにくいですよね。
そこで今回は、
- 訪日外国人のレンタカー利用率とインバウンド産業への影響
- レンタカー利用中の訪日外国人の事故や防止策
- レンタカーを利用する訪日外国人へのインバウンド対策
を紹介します。
「訪日客とレンタカーってあまりイメージがつかない…」と感じるかもしれませんが、概要をつかむだけならハードルは高くありません。
まずは訪日外国人のレンタカー利用率について、ざっくりと理解しましょう!
訪日外国人のレンタカー利用率とインバウンド産業への影響
最初に訪日外国人のレンタカー利用実態として、
- レンタカー利用率
- 利用者の国籍や利用理由
- インバウンド産業への影響
を解説します。
データは以下を参考にしています。
出典:近畿地方整備局「訪日外国人旅行者によるレンタカー利用実態調査」https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/happyou/thesises/2018/pdf03/katu-19.pdf
訪日外国人のレンタカー利用率や日数
訪日外国人のレンタカー利用者の数は、2015年に約70万5,000人を突破しました。
出典:国土交通省「2017年8月の訪日外国人旅行者数」http://www.jice.or.jp/cms/kokudo/pdf/reports/autonomy/roads/01/2017/siryo29.pdf
そして総務省が、関西国際空港からのレンタカー利用者数を調査したところ、以下の結果が明らかになっています。
- 2014年:約4万2,800人
- 2015年:約6万600人
- 2016年:約9万9,100人
3年間で2.3倍に増えていますね。
出典:総務省『「レンタカー事業に関する実態調査-乗用車の貸渡しを中心として-」を開始』http://www.soumu.go.jp/main_content/000544277.pdf
レンタカーの利用日数は、平均5.7日。最も多いのは4〜7日の利用でした。
レンタカーを利用する訪日外国人の特徴
レンタカーを利用する訪日外国人の、
- 国籍や訪日経験
- 利用理由
を紹介します。
利用者の国籍と訪日経験
レンタカーの利用者は、香港・マカオや台湾など東アジアからの観光客が中心です。
理由はこれらの国は、日本と同じ右ハンドル、左側通行だからです。「慣れた交通ルールで運転できる」ことが、利用の後押しになっています。
年代は30〜40代の家族づれが72%と、最も多いです。また訪日旅行のリピーターによる利用が盛んで、
- 5〜10回の訪日経験:22.1%
- 10〜30回の訪日経験:17.3%
と、日本に慣れている人も少なくありません。
何度かの訪日旅行を経験してから、レンタカーを使うアジア人が多いです。
レンタカーを利用する理由
レンタカーを利用する理由は、以下の通りです。
- 時間を気にしないで移動できるから:60.4%
- 荷物が多いから:40.3%
- 小さい子供がいるから:24.5%
車ならではの「便利さ」や「安さ」はもちろんのこと、公共交通機関での移動に不便を感じる人がよく利用しています。
訪日外国人のレンタカー利用によるインバウンド産業への影響
続いてはインバウンド産業への影響として、
- 地方の訪問率アップ
- 道の駅やサービスエリアの売上アップ
の2つを紹介します。
移動範囲の拡大による地方の訪問率アップ
近畿地方整備局の調査では「近畿の首都圏+和歌山や姫路」など、レンタカーで地方を訪問する人が多いことがわかっています。
訪問都市は、
- 四国
- 紀伊半島
- 北陸
などです。
車は一度にたくさんのエリアを周遊できるため、訪日外国人の移動範囲が広がりやすいです。
レンタカーの利用率が上がることで地方の活性化につながります。
道の駅やサービスエリアの売上アップ
近畿整備局の調査では、レンタカー利用中に道の駅に寄った人が40%も存在しています。目的はトイレや食事、買い物などです。
そのため道の駅やサービスエリアで、多言語対応などのインバウンド対策をすることで、売上アップが期待できます。
しかし一方で、問題もあります。次で詳しく解説しますね。
訪日外国人によるレンタカー利用中の事故が増加
総務省の調査によると、訪日外国人のレンタカー利用中の事故は関西のみで、
- 2014年:約28件
- 2015年:約62件
- 2016年:約81件
と、3年間で3倍に。
利用者が増えたこともありますが、そうはいってもレンタカーを運転する訪日外国人の事故は増えすぎているのが現状です。
以下ではインバウンド客が交通事故を起こす原因を見ていきます。
訪日外国人によるレンタカー利用中の事故原因
訪日外国人のレンタカー利用中の事故は、主に以下のことが原因です。
- 道路案内の表記が日本語でわからない
- 日本の交通ルールに慣れていない
- 多言語対応できるスタッフがいないために、レンタル時に交通マナーの説明を省略している
「外国語の表記が少ない」など、言語が大きな原因となっていることがわかります。
レンタカー利用中の事故を防ぐために
事故を防ぐためには、以下のことが欠かせません。
- 多言語対応のできるスタッフを採用
- 交通マナーを記載した多言語のマニュアルを用意
- 英語や中国語の注意看板を設置する
カギは「多言語での対応」です。
例えば古野電気株式会社の多言語で対応できるETC車載器など、対策をスタートしている企業も少なくありません。
もしも「いきなり多言語対応は難しい…」とい場合は、アプリや翻訳サービスを活用しましょう。詳しくは「多言語音声翻訳でインバウンド対策できるアプリや端末まとめ」で紹介しています。
ここまで訪日外国人のレンタカー利用状況や事故について、解説しました。
最後に、レンタカーの貸し出しに必要なインバウンド対策を紹介します。
訪日外国人のレンタカー利用に必要なインバウンド対策と事例
訪日外国人のレンタカー利用を増やすためには、以下の対策が必要です。
- 多言語のマニュアルやドライブマップの作成
- レンタカー利用者向けに観光情報サイトを用意
- 高速道路や駐車場の割引パスを発行
1つずつ解説しますね。
1.多言語でマニュアルやドライブマップを作る
日本の交通ルールを広めることで、事故の防止やレンタカー利用のハードルが下がる可能性があります。
マニュアルやドライブマップに以下を掲載することで、訪日外国人は安心して運転できます。
- 日本の道路における表記の解説
- 事故の多い場所を集めたマップ
例えば、北海道レンタカー協会では「Must-have Handbook for Driving in Hokkaido(北海道ドライブまるわかりハンドブック)」を作成しています。
冊子は、英語や韓国語、フランス語など7つの言語で日本の交通ルールを解説。安全に旅行できることがわかれば、レンタカーの利用率が上がり、地方の訪問率もアップします。
2.レンタカー利用者向け観光情報サイトを作る
訪日外国人がレンタカー利用中に感じる不便の1つに、「観光情報が少ないこと」があります。
レンタカーを借りるときや運転する前に、道路情報やマップ、観光情報をチェックできると、訪日外国人の観光意欲も高まります。
事例として、北海道の「Drive Hokkaido!」があります。
サイトでは英語や中国語で、以下の情報を発信しています。
- エリアガイド
- 観光スポット
- 日本の交通ルール
地域ごとのサイトを作ることで、地方の集客と交通ルールの周知にもつながります。
3.高速道路や駐車場の割引パスを発行する
訪日外国人の中には、「高速道路や駐車場の料金が高い」と感じる人も少なくありません。
そこで国土交通省とNEXCO東日本、中日本、西日本が協力して、「Japan Expressway Pass」を発行しています。
パスの使用で、高速道路が乗り放題に。料金は以下の通りです。
- 7日間で2万円
- 14日間で3万4,000円
レンタカーや高速道路の利用ハードルが下がり、インバウンド客の移動範囲の拡大につながります。
これらのインバウンド対策で、地方により多くの訪日外国人を呼び込みましょう。
訪日外国人のレンタカー利用率を高めて、地方の集客につなげる
ここまでをおさらいします。
レンタカーを利用する訪日外国人の特徴は、以下の通りです。
- 国籍:韓国や台湾、香港などのアジア人リピーター
- 年代:30〜40代の家族連れ
- 利用理由:子供がいる、荷物が多いなど、公共交通機関の移動は不便だから
一方で、訪日外国人によるレンタカー利用中の事故も増えています。事故防止のためには、以下の用意が欠かせません。
- 多言語対応のできるスタッフを採用
- 多言語の交通マナーを記載したマニュアルを用意
- 多言語の注意看板を設置
そして、レンタカーの利用を増やすために、以下のインバウンド対策を実践しましょう。
- 多言語のマニュアルやドライブマップの作成
- レンタカー利用者向けに観光情報サイトを用意
- 高速道路や駐車場の割引パスを発行
多言語の対応や交通マナーの周知により、訪日外国人のレンタカー利用率がアップ。移動範囲の拡大につながり、地方への集客が期待できます。
またレンタカーを利用する訪日外国人は、「FIT」が中心です。FITについて詳しくは「FIT(海外個人旅行)はインバウンド対策のカギ。旅行スタイルから課題まで解説します」をご一読ください。
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