好調なインバウンドはいつまで続く?訪日外国人客数の推移

日本へ観光に訪れる外国人数は右肩上がりで増加しています。

観光局の資料によると、2017年は2,869万人と過去最高を記録しました。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の訪日外国人数の目標数値としては4,000万人が掲げられています。

訪日外国人数の増加に伴い観光客向けのビジネス、いわゆる「インバウンド事業」が盛況をみせています。インバウンドは日本の魅力を海外に住む人にアピールして誘致することや、訪日外国人に消費をおこないやすくするための整備、また日本でしかできない体験を提供することを指します。

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インバウンドによる経済効果は兆単位にもなり、観光局の資料によると2017年の訪日外国人による経済効果は約4兆4,161億円にものぼりました。インバウンド事業はひとつのビジネスとして近年インバウンド事業に乗り出す企業も増えてきています。

参考:観光庁、平成29年年間値(速報)及び平成29年10-12月期の調査結果(速報)
http://www.mlit.go.jp/common/001217542.pdf

しかし、訪日外国人の増加はいったいどのような理由によるものでしょうか。今回は訪日外国人増加の推移とその理由について探っていきたいと思います。

近年の訪日外国人の推移

訪日外国人旅行者数はどれくらいなのか、年別の推移について見ていきたいと思います。

以下のグラフは日本政府観光局のデータをもとに観光庁が作成したもので、1995年〜2015年の訪日外国人数を年別にグラフ化したものです。1995年と2015年のデータを見てみると、旅行者数は約6倍増えています。

出典:観光庁 http://www.mlit.go.jp/common/001119572.pdf

出典:観光庁
http://www.mlit.go.jp/common/001119572.pdf

リーマンショックや東日本大震災といったネガティブな事象が起こった年には訪日旅客数が減少していますが、震災の翌年からは順調に旅行者数が増えています。グラフには記載されていませんが、2016年の旅客数は2,403万人、2017年は2,869万人と2015年以降も順調に増加しています。

インバウンドは2003年から始まった「ビジット・ジャパン」がきっかけ

2003年は訪日外国人客を増やし経済効果を高めるための「ビジット・ジャパン」が国土交通省を中心にして官民一体となりおこなわれました。

ビジット・ジャパンは近隣のアジア諸国、特に中国・台湾・香港・韓国を最重点プロモーション対象市場として、他にもタイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナム・インド・豪州・米国・カナダ・英国・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・ロシアの計20カ国に向けて日本の認知度向上と誘客事業を進めました。

ビジット・ジャパンでは海外向けにプロモーション広告をおこなったり、海外メディアを日本へ招待、またイベントで日本の魅力をアピール、国と地方が連携して訪日プロモーションをおこなうなどして訪日外国人客数を伸ばすために積極的にはたらきかけました。これらはまさに現在インバウンドとして各自治体や企業がおこなっている取り組みと同じで、ビジット・ジャパンは現在のインバウンドのはしりと言えます。

訪日外国人数増加の理由

訪日外国人客数はなぜこれほどまで増加したのでしょうか。
世界的に海外へ旅行する人が増えているため、日本だけに海外からの旅行客が集中しているわけではなく、様々な理由があります。

インバウンドが好況な理由として、一つは中国人に対するビザの発給条件緩和が挙げられます。訪日外国人のなかでも多いのがアジアからの観光客で、全体の約4分の3を占めています。そしてアジアからの観光客のなかでも最も多いのが中国人です。近年非常に多くの中国人旅行客を日本の街中で見るため、ビザが必要ないか緩和されたのだろうという印象を受けますが、中国人が日本に観光で訪れるためには基本的に都度ビザ申請が必要です。

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意外?中国人が観光するには都度ビザが必要

中国人が日本に入国するためには、ビジネス・学術目的か一定の収入があることを証明しなければビザが発給されません。中国が発展途上国であることや不法滞在の問題に対する懸念を理由にビザの発給は厳しかったのですが、1997年から団体旅行が解禁され、2009年から富裕層に向けて個人旅行のビザ発給が始まりました。2015年にはさらにビザの条件緩和が発表され、前に比べて中国人が日本に旅行へ来やすくなりました。

団体観光と個人観光でビザの発給条件が異なり、団体観光では15日以内の観光で、添乗員の付添いなしに行動することはできません。旅行会社を通して観光に行く人の申請をおこないます。個人観光は15日以上30日以内の観光ができるビザですが、こちらも旅行会社を通して予定表を事前に提出する必要があります。

個人観光で沖縄と東北6県(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県)のいずれかに1泊以上滞在する場合、一定の条件を満たすことで3年間有効な数次ビザを取得することができます。これを取得すると1回の滞在で30日まで滞在することができます。

出典:外務省、中国団体観光・個人観光ビザhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/topics/china.html

また、十分な経済力を持つ中国人も数次ビザを申請することができます。

「十分な経済力」「一定の経済力」がどれくらいを指すのかまでは掲載されていませんが、ビザ発給にはこれらの基準をクリアした人でないと日本に訪れることができないため、必然的に日本へ観光に訪れる中国人は中間層〜富裕層と言われています。

元高も訪日中国人の増加を後押し

円安元高も訪日中国人の増加の理由の一つとして挙げられます。一時期「爆買い」という言葉が日本のメディアに頻繁に登場していたのは、元高にあります。

2015年に中国人に対するビザの発給条件が緩和されたことと、また春節の時期に重なったことや元高の時期に重なったことで買い物を目的に日本へ訪れる中国人観光客が目立ちました。

現在は爆買いのピーク時ほど元高・円安ではないため中国人が観光に訪れた時の一人当たりの消費金額は落ちましたが、それでも2017年の調査によると中国人が日本滞在中に消費する金額はインバウンド消費全体の4分の1以上を占めることがわかっています。

画像出典:観光庁 http://www.mlit.go.jp/common/001217542.pdf

画像出典:観光庁
http://www.mlit.go.jp/common/001217542.pdf

画像出典:観光庁

画像出典:観光庁

また、国籍・地域ごとの費目別消費額を見ると、中国は他のどの国よりも買い物代に合計で8,777億円と多くの金額を使っていることがわかります。

LCCによるアジアからの訪日外国人数増加

近年はLCCにより以前より低い価格で旅行に行くことができるようになりました。中国、韓国、台湾、香港は距離的にも日本と近いため、より旅行に対するハードルが低くなったと言えるでしょう。

これから訪日外国人はどれくらい増加する?

日本政府が目標としている2020年の訪日外国人数は4,000万人ですが、予測ではこの数値に一歩およばないのではと言われています。インバウンド市場は今のところ好況ですが、緩やかな増加となっています。

矢野総合研究所の予測によると、2020年の予測では訪日外国人客数は3,679万人とされています。(注:2016年のプレスリリースのため、2015年までは確定値で2016年以降は予測値)

画像出典:矢野経済研究所 国内インバウンド市場に関する調査を実施(2016 年) https://www.yano.co.jp/press/press.php/001632

画像出典:矢野経済研究所
国内インバウンド市場に関する調査を実施(2016 年)
https://www.yano.co.jp/press/press.php/001632

政府の目標には届かないという予測ですが、それでも訪日外国人客数はこれからも順調に増えて行くと見られます。

インバウンドはまだ好調なため、効果を実感できるのは今だけかもしれません。2020年以降に訪日外国人数が急激に減るということはあまり想像できませんが、日本で再度オリンピック・パラリンピックのような外国人を数多く誘致するようなイベントが開催されることはしばらくないでしょう。

インバウンド対策をおこなうのであれば、早めに取り組んだ方がよいかもしれません。

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