インバウンド客が周遊する”ゴールデンルート”とは。地方への呼び込みは交通の整備と都道府県の連携がカギをにぎる

毎年増え続けているインバウンド客の数。彼らは日本を訪れたときに、「ゴールデンルート」という

  • 東京
  • 箱根や富士山周辺
  • 名古屋
  • 京都
  • 大阪

の5つのエリアを回って旅行を楽しんでいます。このルートは訪日外国人から人気の場所を周遊できるだけでなく、少ない日程でもさまざまな角度から日本を楽しむことができます。

このゴールデンルートは、交通手段が充実している都市部だからこそ実現しています。そのため、アクセスが難しい地方からすると、「地方には関係のないルートだ」と感じてしまいますよね。

しかし、観光庁は2016年に「広域観光周遊ルート」という新たなルートを発表しています。2016年の追加分も合わせて、東北や四国、九州などを含む11のエリアを旅行のルートとして提案。このルートが広まることで、地方にもインバウンド客が訪れやすくなると予想されています。

そこで今回は、

  • ゴールデンルートとは
  • 広域観光周遊ルートの詳細と地方への効果
  • 集客に成功した東北地方の事例

をご紹介します。まずはゴールデンルートや広域観光周遊ルートについて、ざっくりと理解しましょう。

ゴールデンルートとは、訪日外国人から人気が高い5つのエリアを巡るルート

ゴールデンルートとは、訪日外国人の旅行の定番となっているルートのことです。

  • 東京
  • 箱根や富士山周辺
  • 名古屋
  • 京都
  • 大阪

といった5つのエリアが含まれています。これらは、訪日外国人から特に人気の場所です。

【出典】観光庁「訪日外国人消費動向調査」

ゴールデンルートであれば、1日につき1つのエリアを回ることができ、主要な観光スポットをおさえることができるのです。

ゴールデンルートは初めて来日する団体客に人気

ゴールデンルートは、「初めて来日する」「団体客」向けのルート。なぜならば、ゴールデンルートを回ることで日本の「自然」「食事」「文化」を、まんべんなく体験できるからです。

5つのエリアは、自然が多い、食事場所が充実している、歴史ある観光スポットが多いなど魅力がバラバラ。初めて日本を訪れる外国人でも、さまざまな角度から日本を満喫できるのです。

また、旅行会社がゴールデンルートを回るプランを商品として販売していることも影響しています。

このゴールデンルートが人気を得たのは、「効率よく日本を旅行できる」という理由があります。

ゴールデンルートを回ることで、インバウンド客は効率よく日本を旅行できる

例えばゴールデンルートを回ると、以下のような旅行プランが完成します。

  • 【1日目】東京に到着。新宿や銀座で観光と買い物を楽しみ、そのままホテルに宿泊。
  • 【2日目】箱根や富士山方面を訪れ、自然を満喫。箱根の旅館に宿泊。
  • 【3日目】名古屋に移動し、観光や買い物、食事を楽しみ宿泊。
  • 【4日目】京都を訪れ、伏見稲荷や金閣寺、清水寺といった歴史あるスポットを観光。
  • 【5日目】大阪に移動し、食べ歩きや最後の買い物。そして関西国際空港から出国。

ゴールデンルートは、主要な観光スポットを効率よく周遊できることがメリットです。

というのも、観光庁のデータによると、訪日外国人の宿泊日数は平均6日間と、長くありません。

【出典】観光庁「訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析 平成28年 年次報告書」

この5つのエリアであれば、すべて新幹線やバスといった交通機関で周遊できます。交通手段が充実しているため、少ない日程の中でも効率よく、すばやく移動できるのです。

とはいえ、ゴールデンルートは主要都市のみ。「いくらゴールデンルートがあっても、地方には集客できない…」と感じてしまいますよね。

そこで観光庁は、2015年に地方も含む新たな周遊ルートを作りました。

「広域観光周遊ルート」も登場、ゴールデンルート以外の地方への訪問をねらう

観光庁は2015年に、ゴールデンルートとは別に「広域観光周遊ルート」を作っています。このルートを広めることで、地方に訪日外国人を集客できると予想しています。

実際にこのルートができてから、地方での宿泊者数が2014年には1,575万人だったのに対し、2016年には2,753万人に。約1,200万人も増加しています。

【出典】観光庁「旅行動態の変化の状況」

次はこの「広域観光周遊ルート」の詳細と、地方への呼び込みにつながる2つの理由を解説します。

観光庁は2015年に「広域観光周遊ルート」を発表、11エリアの魅力を発信

「広域観光周遊ルート」とは、地方を含む以下の7つのエリアを周遊するルートのことです。

  • 北海道(東部)
  • 東北
  • 信越
  • 関西
  • 瀬戸内
  • 四国
  • 九州

さらに、2016年には新たに

  • 北海道(北部)
  • 関東
  • 山陰
  • 沖縄

の4つを追加しています。

このルートを周ることで、日本全国のほとんどを満喫できます。

ゴールデンルートを周遊した訪日外国人はリピーターになり、地方に注目している

この広域観光周遊ルートは、訪日外国人の中でもリピーターがよく利用すると予想されています。

というのも、訪日外国人のほとんどはアジア人。さらに、彼らのほとんどは2回目以上の来日であることが、株式会社JTB総合研究所の調査で明らかになっています。

【出典】株式会社JTB総合研究所「訪日外国人旅行者の概況と訪日中の情報収集について」

リピーターは初めての来日のときに、ゴールデンルートである東京や大阪をすでに訪れています。そのため、次の旅行先として地方に注目し、実際に

  • 2〜9回目のリピーターのうち82%
  • 10回目以上のリピーターのうち99%

が地方を訪れています。

【出典】観光庁「訪日外国人旅行者の訪日回数と消費動向の関係について~韓・台・香・中の訪日回数の多いリピーターは1人当たり旅行支出が高い~」

何度も日本を訪れている外国人には、ゴールデンルートよりも広域観光周遊ルートの方が魅力的に感じるようです。

実際に、広域観光周遊ルートの1つである東北地方が、台湾人の集客に成功しています。

事例:東北がイベント開催で台湾人を呼び込み、集客に欠かせない2つのポイントとは?

東北地方がイベントの開催をきっかけに、約38万の台湾人の集客に成功しています。そのイベントの詳細と、呼び込みに欠かせない2つのことを解説します。

「日本東北遊楽日」で東北の伝統文化や食事をアピール、3日間で5万人が来場

2015年、台湾の首都である台北で「日本東北遊楽日」というイベントが、3日間にわたって開催されました。台湾でイベントを開催した理由は、

  • 東日本大震災で支援してくれた台湾への感謝
  • 知名度の低い東北の魅力をダイレクトに発信するため

です。

イベントでは、

  1. 伝統芸能のステージ(ねぶた、なまはげ太鼓)
  2. 体験コーナー(起き上がりこぼしの絵付け、着付け体験など)
  3. 試飲試食コーナー(芋煮、ずんだもち、りんごジュースを提供)
  4. ブース出展(東北各県、JR東日本、日本航空、現地の旅行会社がブースを出展し、東北の魅力や旅行商品を発信)

を行って、東北の魅力をアピールしました。

その結果、3日間で5万人がイベントに訪れ、現地のメディアでも報道されるほどの大人気ぶり。実際に東北へ訪れる台湾人の数も、震災前の2010年は約13万人だったのが、震災後の2017年には約38万人に増え、3倍に近い伸び率を記録しています。

【出典】東北運輸局観光部「東北地方における観光の現状(統計データ)」

訪日外国人を地方へ呼び込むために欠かせない2つのこと

先ほどのイベントから、地方へ訪日外国人を呼び込むためには

  • 各スポットや企業、都道府県の連携
  • 交通手段の確保

が必要だと分かります。

これらを整えることで、訪日外国人が地方に興味を持つだけでなく、「アクセスできそう」と感じ、地方を訪れるハードルが下がるのです。

東北の事例では、各都道府県や企業が連携してイベントを開催したことが、イベント内容の充実につながっています。

さらには航空会社のタイガーエア台湾で、台北−仙台という新たな路線が誕生したことも来日のきっかけに。国内でも、京都、大阪、渋谷、新宿の4つのエリアと仙台を結ぶ高速バスが誕生するなど、交通手段が増えています。

高速バスに関しては、「宮城交通が高速バスに車内Wi-Fiを導入、インバウンド客の利便性向上を図る」で紹介しています。

まずはイベントなどで地方の魅力を発信し、アクセスしやすい交通手段を用意。そうすることで、訪日外国人にとって地方旅行がさらに身近なものになるはずです。

ゴールデンルートの魅力は交通手段と観光スポットの充実度。地方もこの2つをそろえれば、集客につながる

ここまでをおさらいします。

ゴールデンルートという、インバウンド客から人気のルートがあります。東京、箱根や富士山周辺、名古屋、大阪、京都の5つのエリアを、1日に1つずつ訪問。少ない日程の中で、さまざまな角度から日本を満喫できることが魅力です。

そして2015年には「広域観光周遊ルート」という、新たな7つのエリアを回るルートが観光庁から発表されました。2016年にはさらに4つのエリアを追加。これで、

  • 北海道(北エリア)
  • 北海道(東エリア)
  • 東北
  • 信越
  • 関東
  • 関西
  • 山陰
  • 瀬戸内
  • 四国
  • 九州
  • 沖縄

という日本全国ほとんどのエリアをカバーできるルートとなりました。このルートは、リピーターであるアジアからの観光客へアピールすると効果的です。

というのも、何度も日本を訪れているアジア人は、ゴールデンルートである東京や大阪をすでに訪問済み。そのため、リピーターほど「地方を訪れたい」と感じており、10回以上も来日している観光客に関しては、99%が地方を旅行しています。

実際に、東北地方が台湾でイベントを開催し、5万人を呼び込むことに成功しています。さらに、2017年には約38万の台湾人が東北地方へ訪れるという効果も。この集客の成功には、

  • 観光スポットや企業、都道府県の連携
  • 交通手段の確保

が欠かせません。これらは訪日外国人が地方を訪れるきっかけになるのです。

まずは地方の魅力をしっかりとアピールしながら、訪問するための交通手段を整えましょう。これにより、広域観光周遊ルートもゴールデンルートのような定番の旅行ルートになり、地方を訪れる訪日外国人が増えるはずです。

今のインバウンド客数は「好調なインバウンドはいつまで続く?訪日外国人客数の推移」にて紹介しているので、気になる方はぜひご一読ください。

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