ハラルフードとは?豚肉やアルコールを使わない日本食の提供で、ムスリムの集客につながる

「最近イスラム教徒の観光客をよく見かけるけれど、うちの店にはなかなか集客できていない…」

と感じている飲食店経営者の方。

「政府がムスリム訪日客を増やすための行動計画を策定。訪日客4,000万人達成に向けて1歩前進」で紹介しているように、近年“ムスリム”と呼ばれるイスラム教徒の観光客が増えています。

一方で、「日本にはイスラム教の食事制限に対応したお店が少ない」と感じるムスリムが

  • マレーシア:63.8%
  • インドネシア:54.3%

もいることが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査で明らかになっています。

ムスリムには食事制限があり、旅行先でも守る必要があります。しかし日本はムスリムへの対応が遅れており、飲食店での食事を避ける理由でもあるのです。

出典:「現地ムスリムに対する訪日旅行に関する意向調査」

訪日ムスリムへの対応には、「ハラルフード」を知ることが欠かせません。とはいえ、食事をどのように提供すれば良いのかはわかりにくいですよね。

そこで今回は

  • ハラルフードとは
  • ハラルフードを提供するときの注意点
  • ムスリム向けに日本食をアレンジした「浅草 すし賢」の事例

を紹介します。食べることができる食品や禁止されている食品をおさえれば、ムスリムへの対応は意外と簡単です。

まずはハラルフードについて、ざっくりと理解しましょう。

ハラルフードとは、イスラム教で食べることが許されている食品

ハラルフードとは、イスラム教のルールに沿って食べることが許されている食品や料理のことです。

“ハラル”はアラビア語で「許されている」という意味があります。食べることができない食品は“ハラム”と呼び、この単語には「禁じられている」という意味があります。

ムスリムが食べることを禁止されている食品

ハラルフードについては、まず禁止されている“ハラム”を知っておくと理解しやすいです。

ハラムの代表例が、

  • 豚肉
  • アルコール

です。

豚肉はイスラム教で「不浄なもの」とされています。またアルコールは「酔っ払ったときの弊害が大きい」という理由から、ムスリムは飲むことができません。

ムスリムがハラルフードとして食べることができる食品

ハラルフードとして食べることができる食品は、主に以下のものです。

  • 野菜
  • 果物
  • 牛乳

水や土の中で育ったものは“ハラル”です。例えば焼き魚や、生野菜のサラダなどは食べることができます。

しかしハラルフードを提供するとき、注意するポイントは食品だけではありません。豚肉やアルコールを含む調味料、豚肉やアルコールに接触した食器も“ハラム”に当てはまり、食べることができないのです。

ハラルフードを提供するときに注意したい2つのこと

ハラルフードの提供は、

  1. 豚肉やアルコールを含む調味料や加工食品
  2. 豚肉やアルコールが付いた食器やキッチン

にも注意する必要があります。

1.豚肉やアルコールが入っている調味料、加工食品も禁止

ムスリムは、豚肉やアルコールを含む調味料や加工食品も、食べたりさわったりすることができません。

例えば豚肉であれば、以下のものが禁止されています。

  • 豚肉を使った加工食品
  • 豚のエキスが入った出汁やスープ
  • 豚が入っているエサを食べた家畜

例えばハムやソーセージなどの豚肉由来の加工食品や、豚肉エキスの入ったとんこつラーメンは食べることができません。

アルコールは基本的に、ビールなどの「飲むアルコール」が禁止されています。しかし、

  • 日本酒
  • ワイン
  • アルコールが添加された醤油

などを調理に使うこともできません。アルコールそのものではなくても、「アルコールを料理に加える」行為や「アルコールを使っている調味料」もハラムになるのです。

2.食器やキッチンは一般向けとムスリム向けに分ける

食品だけでなく、豚肉やアルコールと接触した食器やキッチンにも注意が必要です。

例えば、豚肉やアルコールを使って調理した

  • 調理器具
  • キッチン
  • 食器

もムスリムは使うことができません。

そのためムスリム向けの飲食店では、調理器具やキッチン自体を「一般向け」と「ムスリム向け」に分けるところもあるようです。

冒頭でも述べたように、多くのムスリムが「食事できる飲食店を探すことが難しい」と感じるくらい、まだまだ日本のお店はハラルフードを提供できていません。

さらに日本食には、みりんなどアルコールを含む調味料がよく使われており、多くの飲食店がハラルフードの提供に悩んでいます。

そこで事例として、東京でハラルフードの寿司を提供している「浅草 すし賢」(以下、すし賢)を紹介します。

浅草 すし賢:豚肉やアルコールを使わない食材で寿司をふるまう

寿司は、アルコールを含む醤油やみりんを使う料理です。人気の日本食にもかかわらず、ムスリムはなかなか食べることができないのです。

そこですし賢は、食材と店内にいくつかの工夫を加えました。

ハラル認証を受けた食材を使うだけでなく、礼拝できるスペースも用意

すし賢では、ムスリム向けの寿司を提供するために、以下の食材を用意しました。

  • アルコールを使わない「ハラル醤油」
  • ハラル認証を受けた工場で生産する「すし酢和泉JP」

アルコールを使わない醤油や、ハラル認証を受けている工場で作る酢であれば、ムスリムも口にできます。

さらには

  • お祈りできるスペースを用意する
  • 英語の話せるスタッフを採用する
  • イスラム教徒のスタッフを採用する

など、徹底的にムスリムのことを考えたお店作りをしました。

その結果、ランチもディナーも観光客で満員に。ムスリムから大人気のお店となっています。

ハラルフードを提供するときに欠かせない3つのこと

ハラルフードを提供する際は、以下のことが欠かせません。

  • 豚肉やアルコールを使わない材料
  • 英語や多言語で対応できるスタッフ
  • 礼拝できるスペース

ハラルフードを用意しても、ムスリムの観光客に「豚肉やアルコールが入っていない」と伝えることができなければ、「これはハラムだ」と勘違いされる可能性も。英語や多言語で説明できるスタッフは用意すべきです。

また食事の前後にお祈りできるように、礼拝スペースを用意しているとさらに喜ばれます。

このようにアルコールをよく使う日本食でも、アレンジをすればムスリムに提供できます。この対応が広まれば、ムスリムの来店も増加。売上アップにつながるはずです。

ハラルフードを用意できる工夫で、ムスリムの集客につながる

ここまでをおさらいします。

ハラルフードとは、イスラム教のルールで食べることが許されている食品や料理のことです。主に魚や野菜、卵などで、これらは“ハラル”と呼ばれています。

対して、食べることができない食品は“ハラム”と言い、

  • 豚肉
  • アルコール

が代表的な例です。

さらに豚肉やアルコールが少しでもついている

  • 調味料や加工食品
  • 食器
  • 調理器具
  • キッチン

も、ムスリムは食べたり使ったりすることができません。

しかし日本食にはアルコールを含む調味料がよく使われているため、まだまだハラルフードを提供するお店は少ないのが現状です。

そこで参考として、ムスリム向けの寿司を提供する「浅草 すし賢」を紹介しました。すし賢のように、

  • 豚肉やアルコールを使わない食材と調味料
  • 英語や多言語で対応できるスタッフ
  • 礼拝できるスペース

など、ムスリムのことを考えたメニュー作りやお店作りをすれば、注目が集まります。そしてムスリムの来店が増えれば、売上アップにもつながるはずです。

豚肉やアルコールを使わない食品や調味料は、「ハラル認証」があるかどうかで見分けることができます。詳しくは「【店舗向け】ハラール対策とは?概要から事例までを詳しく解説」で紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

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