中国の動画サイト“爱奇艺(iQiyi)”とは?メーカーや小売店が動画広告を活用すれば、売上アップにつながる

「中国の人に向けて、自社の商品をどうやってアピールしよう…」

と考えているメーカーや小売店の方。

中国では動画を視聴する人が増えており、約5億7,000万人がスマホを使って映画やドラマを楽しんでいます。中でも「爱奇艺(アイチーイー)」という動画サイトの人気が高く、毎月3億5,000万人ものユーザーがサイトを利用しています。

そして2018年の4月、爱奇艺は日本企業に対して動画広告の配信サービスを提供すると発表しました。この広告を使えば、より多くの中国人に自社の商品をアピールするチャンスが増えます。

とはいえ、爱奇艺の広告配信サービスは始まったばかり。活用する日本企業はまだまだ少ないため、実際の効果はなかなかイメージしにくいですよね。

そこで今回は、

  • 爱奇艺とは
  • 爱奇艺が動画広告をスタートする背景と活用のメリット
  • SNSで動画を配信して売上アップにつなげた化粧品ブランド「エテュセ」の事例

を紹介します。「中国の動画広告って難しそう…」と感じますが、概要をつかむだけなら簡単です。

まずは爱奇艺について、ざっくりと理解しましょう。

爱奇艺(iQiyi)とは、映画やドラマ、アニメなどを視聴できる中国の動画サイト

「爱奇艺(アイチーイー)」とは、映画やドラマ、アニメなどを視聴できる中国の動画サイトです。2010年にサービスがスタートし、2017年時点で月に約3億5,000万人、1日に約1億3,000万人のユーザーがサイトを利用しています。

動画は無料で閲覧できますが、有料会員になると動画の前に配信される60秒ほどの広告をスキップすることが可能に。有料会員は月額19.8元(約336円)で、会員数は約5,080万人にものぼります。

爱奇艺(iQiyi)で視聴できる動画のジャンル一覧

爱奇艺で視聴できる動画のジャンルは、以下の通りです。

  • 映画
  • ドラマ
  • アニメ
  • バラエティ番組
  • 情報番組

これらの基本的なジャンルだけでなく、

  • スポーツ
  • ファッション
  • 音楽
  • 旅行

などの専門的なジャンルも充実。

配信内容は中国の作品や番組が中心ですが、欧米や日本の映像作品も見ることが可能です。例えば日本の作品であれば、ドラマ「深夜食堂」やアニメ「名探偵コナン」などを視聴できます。

ドラマや映画が視聴できる「Hulu(フールー)」や、「Netflix(ネットフリックス)」などのサービスと似ていますね。

爱奇艺で動画の前に流れる広告は、今まで中国の企業しか利用できませんでした。しかし2018年の4月から、爱奇艺は「日本の企業にも広告配信サービスを提供する」と発表しています。

次で詳しく解説します。

爱奇艺(iQiyi)の動画広告がスタートする背景と活用するメリット

爱奇艺は、中国の検索エンジン「百度」のグループ会社です。そして2018年4月、百度の日本法人であるバイドゥ株式会社は、爱奇艺で動画広告を配信するサービスを日本企業にも提供すると発表しています。

動画広告を使うことで、メーカーや小売店は将来のお客さまとなる中国人へアプローチ可能に。さらなるブランドファンの獲得が期待できます。

まずは動画広告がスタートする背景からお伝えします。

背景:インターネットを通して動画を楽しむ中国人が増えている

広告配信サービスがスタートした背景には、“インターネットで動画を見る中国人が増えている”ことがあります。

中国のインターネットユーザーの数を見てみると、

  • 2015年:約6億8,800万人
  • 2016年:約7億3,100万人
  • 2017年:約7億7,200万人

と、毎年3,000〜4,000万人ずつ増え続けています。

そしてユーザーは、主に以下のようなインターネットサービスを利用しています。

  • インスタントメッセージ:約7億2,000万人(93.3%)
  • 動画の視聴:約5億7,000万人(75.0%)
  • ショッピング:約5億3,000万人(69.1%)

動画は全体の75%が利用する人気サービスです。

出典:株式会社クララオンライン「第41回 中国インターネット発展状況統計(抜粋・参考訳)」

これは大画面のスマートフォンが普及し、スマホでも映画やドラマが十分楽しめるようになったことが理由の1つ。そのためスマホでインターネットに接続して、動画を楽しむ人が多いようです。

動画を見る人の多い中国で広告を配信すれば、広告が目に留まる確率も高くなることが期待できます。今まで日本製品を使ったことのない中国人が、興味を持つきっかけにつながります。

動画広告をインバウンド対策に活用する2つのメリット

日本企業が動画広告を使うメリットは、

  • 広告をスキップできない会員が多いため、視聴される可能性が高い
  • 広告代が安く、少なめの予算で実現できる

の2つです。それぞれ詳しく解説します。

メリット1:広告をスキップできないユーザーが多いため、目に留まる可能性が高い

ほとんどの動画サイトでは、有料会員になると広告をスキップできます。しかし爱奇艺の有料会員数は5,080万人。残りの約3億人は、無料会員のまま広告をスキップしないことを選んでいます。

ジェトロの調査では、中国人が動画サイトを無料会員のまま使い続ける理由の1つとして、「有料会員の待遇にそれほど魅力を感じていない」ことが明らかになっています。

爱奇艺の有料会員も、広告スキップのほかには「VIP用のIDが支給される」などのサービスしかありません。

出典:日本貿易振興機構(ジェトロ) 「中国のテレビ番組及び映像配信市場調査 」

「数十秒の広告なら無料会員のままでいい」というユーザーがほとんど。そのためたとえ数十秒の短い動画でも、約3億人のユーザーにアプローチが可能です。

メリット2:少なめの予算で実現できる

動画広告は少額の予算で導入できるインバウンド対策です。

動画では広告を配信しても、クリックされなければ費用はかかりません。「1クリックにつき〇〇円」というクリック報酬型を採用していることがほとんどです。クリックや再生回数など、具体的な効果がなければ費用を請求されないため、少なめの予算でも対応できます。

このように動画広告は導入のハードルが低く、中国人の目に留まる確率も高い方法です。

しかし爱奇艺の動画広告は、スタートしてからまだ3カ月しかたっていません。そのため実際に活用している日本企業は、まだまだ少ないです。

そこで動画広告ではありませんが、インフルエンサーとのコラボ動画を使って商品の売上アップをはかった、化粧品ブランド「エテュセ」の事例を紹介します。

エテュセの事例:「独身の日」に向けて動画を配信し、売上が約260億円アップ

エテュセは日本でも人気の化粧品ブランドです。手に入りやすい価格で中国でも人気を集めており、中国のECサイト「天猫国際」などで、商品を販売していました。

エテュセはさらなる売上アップのために、爱奇艺の専門チャンネルを含む17のSNSや動画サイトで、インフルエンサーとのコラボ動画を配信。結果的に約255万回の再生回数を記録し、売上も約260億円アップしています。

中国人インフルエンサーのアカウントで、独身の日に向けて動画を配信

2017年11月、エテュセは中国のインフルエンサー“賴賴是Zoe(ゾーイ)さん”とコラボし、マスカラ下地「ラッシュバージョンアップ」を使ったメイク動画を配信しています。

中国では毎年11月11日が「独身の日」と呼ばれており、中国のECサイトが一斉にセールを実施します。実際にいくつものECサイトを運営する阿里巴巴集団(アリババ)は、2016年の独身の日だけで約1,207億元(約2兆円)の売上を記録。莫大な売上が期待できるイベントなのです。

この日に向けてエテュセも、中国のTwitter「微博(ウェイボー)」、中国のYouTube「优酷(ヨウク)」など、それぞれのゾーイさんのアカウントから動画を配信しました。

ゾーイさんは爱奇艺のアカウントも所持しているため、この専門チャンネルでも動画は配信されています。

動画の総再生回数が約255万回を記録、売上は約260億円アップ

17のSNSや動画サイトで「エテュセ」の動画を配信したところ、わずか1カ月間で総再生回数が約255万回を突破しました。

実際にエテュセの中国での売上を見ても、

  • 2016年度:1,181億円
  • 2017年度:1,443億円

と、約260億円も増加しています。

出典:株式会社 資生堂「2017年度実績」

このように動画の利用者が多い中国で、動画広告はインバウンド対策として有効です。メーカーや小売店は、イベントの時期に合わせて広告を用意すれば、さらなる売上アップが期待できます。

「独身の日」だけでなく、「春節」も中国人の消費額がアップする時期の1つです。春節については、「春節とは?2019年の期間や訪日中国人の動きを解説【インバウンド担当者必見】」で詳しく紹介しています。

爱奇艺(iQiyi)で動画広告を配信すれば、メーカーや小売店は売上アップが期待できる

ここまでをおさらいします。

爱奇艺(iQiyi)は、映画やドラマ、アニメなどを視聴できる中国の動画サイトです。月に約3億5,000万人、1日の約1億3,000万人のユーザーが利用しており、基本的にすべて無料で利用可能。ただし有料会員になると、動画の前に流れる広告をスキップできます。

爱奇艺は2018年の4月から、日本企業に対して動画広告を配信するサービスをスタートしています。この背景には、インターネットで動画を見る中国人の増加があり、動画は約5億7,000万人が利用する人気のサービス。より多くの中国人に自社製品を届けるチャンスです。

そして動画広告には、以下のようなメリットもあります。

  • 短い動画のため、目に留まる可能性が高い
  • 広告代が安く、少なめの予算で実現できる

つまるところ、予算をおさえつつ効果的なプロモーションの実施が期待できます。

しかし爱奇艺の動画広告はスタートしたばかりのため、まだまだ活用する企業は多くありません。そこで代わりに、動画を使って売上アップをねらった「エテュセ」の事例を紹介しました。

エテュセは中国人のインフルエンサー“賴賴是Zoe(ゾーイ)さん”の協力を得ながら、17のSNSや動画サイトでマスカラ下地の使用動画を配信。総再生回数は約255万回を記録し、中国での売上は約260億円もアップしています。

このように視聴者の多い動画サイトで広告を配信すれば、より多くの中国人に商品の魅力が届くように。特にイベントの時期に合わせて動画広告を用意すれば、さらなる売上につながることが期待できます。

今回の事例で紹介したゾーイさんのような、SNSでの影響力が高い人のことを、中国では“KOL”と呼んでいます。「“KOL”って何だろう」と感じた方は、「KOLとは。概要から中国市場へのプロモーション方法までを解説します」で解説していますので、合わせてチェックしてみてください。

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