FIT(海外個人旅行)はインバウンド対策のカギ。旅行スタイルから課題まで解説します

「最近ツアーや団体で旅行にくるお客さまを見かけなくなってきた」

と感じているインバウンド担当の方。

近年は「FIT(海外個人旅行)」という、自分で航空券やホテルを手配する旅行スタイルが増えています。彼らはツアーや団体旅行を使わずに、友人や家族と日本を訪れています。

FITの訪日外国人は、ツアーや団体旅行の観光客とはニーズや不満が異なります。そのため今までと同じインバウンド対策をしていても、あまり効果を期待できません。

とはいえ、いきなりFIT向けのインバウンド対策を考えるのはなかなか難しいですよね。

そこで今回は、

  • FIT(海外個人旅行)とは?
  • インバウンド対策に役立つFITの旅行傾向
  • FITが不満に感じる日本の課題と解決策

を紹介します。「いきなりインバウンド対策を変えるのは難しい…」と感じるかもしれませんが、概要だけならすぐにつかめます。

まずはFITについて、ざっくりと理解しましょう!

FITとはツアーや団体旅行を使用せずに、個人で旅行すること

FIT(エフアイティー)とは、団体旅行やパッケージツアーを利用しないで個人で海外旅行に行くことです。

FITの割合は、

  • 2012年:60.8%
  • 2017年:75.7%

と、5年間で約15%も増えています。

出典:観光庁「旅行動態の変化の状況」

続いてはFITが増えている理由と、FITを利用する人の割合をお伝えします。

FITが増えている理由:観光客は“目的にあった旅行”を求めている

FITが増えている理由は、“目的にあった旅行をしたい人”が増えているからです。

もともと多くの人が、ツアーや団体旅行に参加して海外旅行していました。しかし海外旅行の経験者が増えるとともに、旅行の目的が多様化。アクティビティや食事など、目的に合わせた旅行をするためにFITを選ぶ人が増加しています。

FITの魅力は、「観光する場所や旅程を自由に決めることができる」ことです。ツアーや団体旅行よりも、時間を有効に使用できます。

さらには海外旅行だけでなく、出張や駐在、家族や知人の訪問を目的とする人が増えたことも理由の1つです。

海外の家族や知人を訪問する旅行スタイルは、“VFR”と言います。VFRについては、「VFR(友人、親族訪問)のインバウンド対策について解説します。」をチェックしてみてください。

FITは欧米に多く、アジア圏でも増えている

もともとFITとは、欧米圏を中心とした旅行スタイルでしたが、近年はアジア圏のFITの割合も増加しています。

各国のFITの割合は以下の通りです。

【欧米】

  • アメリカ:85.3%
  • ドイツ:87.9%
  • フランス:85.3%
  • イギリス:84.3%
  • スペイン:89.2%

欧米では、FITで旅行する人が80%以上を占めています。

一方アジア圏は、

【東アジア】

  • 韓国:83.3%
  • 香港:78.6%
  • 中国:60.7%
  • 台湾:56.1%

【東南アジア】

  • シンガポール:86.8%
  • フィリピン:84.5%
  • タイ:75.9%

と、まだまだ多くありませんが、どの国も半数以上は存在しています。

出典:観光庁「訪日外国人の消費動向 2018年4-6月期 1次速報」

FITが増えるとともに、旅行スタイルにも変化があらわれています。そのため今まで実施していた、ツアーや団体旅行向けのおもてなしでは、インバウンド効果を実感できなくなりつつあるのです。

そこで続いては、FITの旅行傾向から必要なインバウンド対策を分析します。

FITの旅行スタイルとは?傾向を分析し、インバウンド対策に役立てよう

ここからは観光庁のデータを参考に、FITの旅行傾向について

  1. FITが旅行で求めるもの
  2. FITの情報収集
  3. FITの訪問先

を解説します。

出典:観光庁「旅行動態の変化の状況」

1.FITのインバウンド客はモノ消費ではなく、コト消費を求めている

FITは買い物を中心とした「モノ消費」よりも、日本文化の体験や自然の観光など「コト消費」を求める傾向があります。

というのも、FITはツアー参加者よりも自由時間が多く、数時間の現地ツアーに参加しやすいのです。

実際に訪日外国人の消費単価を見てみると、

  • 宿泊費:5万94円
  • 飲食費:3万1,112円
  • 現地ツアー:1万827円
  • 買い物:5万196円

とまだまだ買い物も大きいですが、すこしずつ「コト消費」である飲食や宿泊への出費が増えています。

この現地ツアーとは、オプショナルツアーのことです。

オプショナルツアーについては、「オプショナルツアーとは?着物体験やスキーなどコト消費をアピールすれば、地方を訪れるきっかけとなる」で詳しく紹介しています。

2.FITの情報収集は、SNSやブログが中心

FITの情報収集は、SNSやブログが中心です。

観光庁の旅行動態の調査でも、旅行中の情報源として「スマートフォンを活用する」と答えた人が72.1%も存在しています。

さらに情報源を見てみると、

  • 個人のブログ
  • InstagramなどのSNS
  • 旅行会社のホームページ

と、ブログやSNSに人気が集まっています。

そしてFITはこれらで、

  • 人気の観光スポット
  • 交通手段
  • レストランやカフェなど飲食店

を探しています。

出典:JTB総合研究所「訪日外国人旅行者の概況と訪日中の情報収集について」

そのため地方自治体や観光施設、小売店などはInstagramなどのSNSを使ってアピールすると、さらなるFITの集客が期待できます。

SNSを使った集客は、インフルエンサーの協力を得る“ファムトリップ”がより効果的です。「ファムトリップって何だろう…」と感じた方は、「ファムトリップとは?海外のメディアやインフルエンサーと協力して、インバウンド客の増加につなげる」をチェックしてみてください。

またインフルエンサーを選ぶ際は、偽物に注意が必要です。インフルエンサーの見分け方については、「インフルエンサーの不正行為?「偽フォロワー」や「偽いいね」を見分ける方法とは?」で詳しく紹介しています。

3.FITはリピーターが多く、地方を訪れる傾向がある

訪日外国人はリピーターが多いです。実際に観光庁の調査でも、

  • 2012年:528万人
  • 2017年:1,426万人

と、5年間で約898万人もリピーターが増えています。そして2回目以降の来日では、FITとして旅行する傾向が強いです。

というのも1度でも日本を訪れていると、空港からのアクセスや電車の乗り方など、知っていることが増えます。そのため2回目以降はツアーを利用しなくても、友人や家族だけでスムーズに旅行できます。

そして日本を訪れたことのある訪日外国人は、東京や大阪などの“ゴールデンルート”はすでに訪れており、地方エリアに興味を持つ人が多いです。

実際に観光庁による旅行動態の調査でも、地方の宿泊者数は

  • 2012年:855万人
  • 2016年:2,753万人

と、約1,898万人も増えています。

地方エリアがスムーズに旅行できる環境を整えることで、さらなるFITの集客が期待できます。

ゴールデンルートについては、「インバウンド客が周遊する”ゴールデンルート”とは。地方への呼び込みは交通の整備と都道府県の連携がカギをにぎる」にて詳しく解説しています。

ここまでFITの旅行傾向について解説しました。

日本はFITのニーズを満たしているように感じていますが、不満やストレスがなくなったわけではありません。FITだからこそ感じる不満も、まだまだ存在します。

そこで次は、FITへのインバウンド対策での課題と解決策を紹介します。

FITへのインバウンド対策に関する課題:Wi-Fiの整備、コミュニケーション

観光庁の調査では、FITの困りごととして、

  1. 英語や自国語でのコミュニケーションができない(28.9%)
  2. 無料Wi-Fiが少ない(18.5%)
  3. 案内や看板が日本語しか記載されていない(13.3%)

などが明らかになっています。

出典:観光庁「旅行動態の変化の状況」

それぞれの解決策を紹介します。

1.観光施設などで英語や自国語でのコミュニケーションができない

FITの場合、ツアーや団体旅行のように通訳がいないため、すべて自分たちでやり取りする必要があります。しかし日本では、まだまだ「英語や自国の言葉が通じない」と感じる観光客が、28.9%も存在します。

小売店やホテル、駅などでコミュニケーションができると、FITのストレスを減少できます。もしも「英語を話せるスタッフがいない」という場合は、“多言語音声翻訳”が便利です。

おすすめのアプリや端末については、「多言語音声翻訳でインバウンド対策できるアプリや端末まとめ」で詳しく紹介しています。

2.無料で利用できるWi-Fiが少ない

FITは観光スポットやホテルまでの行き方など、自分で調べる必要があります。しかし「日本は無料で利用できるWi-Fiが少ない」と感じている人が18.5%も存在しており、なかなかスムーズに調べることができません。

無料Wi-Fiを用意すれば、目的地までの移動手段などをスムーズに調べることができます。

3.案内や看板に多言語での表記がない

駅や観光スポット周辺の案内板、看板に、多言語での表記がないことも、13.3%のFITは不満に感じています。

案内や看板にいくつもの言語を表記することは難しく感じるかもしれませんが、Google翻訳などのAR機能を使うと、簡単に多言語での表示が実現します。

ARを使ったインバウンド対策については、「ARでインバウンド対策。訪日外国人のストレスを解消し、観光客やリピーターを増やす方法とは」で詳しく解説しています。

このようにFITのストレスや不満を解消することは、さらなる訪日外国人の増加につながります。訪日外国人が増えることで、飲食店や小売店、ホテルなどは売上アップに、地方エリアは地域活性化が期待できます。

まずは多言語での対応など、取り組みやすいものから始めてみましょう。

FITの不満やストレスを解消することで、さらなる訪日外国人の増加につながる

ここまでをおさらいします。

FITとは、個人で海外旅行をすることです。近年は旅行の目的が多様化したことにより、ツアーや団体旅行の利用よりも、FITを選ぶ人が増えています。

FITの旅行傾向として、

  • FITの旅行中の過ごし方:モノ消費よりもコト消費を求めている
  • FITの情報収集:InstagramなどのSNSや個人のブログが中心
  • FITの訪問先:リピーターが多いため、地方に興味を持っている

の3つを紹介しました。

これらをもとにしたインバウンド対策をすることで、FITのニーズを満たすことができそうですが、これだけで十分とは言えません。

FITへのインバウンド対策の課題として、

  • 英語や自国語でのコミュニケーションができない
  • 無料Wi-Fiが少ない
  • 案内や看板が日本語しか記載されていない

などがあります。

飲食店や小売店、ホテル、観光施設がこれらの対策を実施することで、FITの不満やストレスを解消できます。

FITがスムーズに旅行できる環境が整うことで、旅行の満足度がアップ。飲食店や小売店、ホテルなどは売上アップが、地方エリアは地域活性化につながることも期待できます。

そしてFITのインバウンド対策には、「旅マエ・旅ナカ・旅アト」の3段階でアピールすることが欠かせません。

「旅マエ・旅ナカ・旅アト」でのプロモーション方法は、「旅マエ・旅ナカ・旅アトとは?旅をまるごとプロモーションして訪日観光客のハートをつかむ!」で解説していますので、合わせてチェックしてみてください。

 

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