「忍びの里伊賀」創生プロジェクトとは?地方インバウンド誘致のカギは、産学官民との連携

「なかなかインバウンド客が増えない…。でも、具体的に何をしたらいいんだろう。」

と感じている地方自治体の方。

地方は初めて来日するインバウンド客よりも、何度も日本を訪れているリピーターから注目されています。観光庁のデータによると、地方での宿泊率は2017年度で2,753万人にものぼり、今後の集客が期待できるエリアです。

出典:観光庁「旅行動態の変化の状況」

その例として、三重県にある伊賀市が始めた「忍びの里伊賀」創生プロジェクトがあります。民間企業や大学と協力して忍者のイベントなどを開催し、インバウンド客の呼び込みに力を入れています。

とはいえ、具体的にどんな取り組みなのか、なかなかイメージしにくいですよね。

そこで今回は、

  • 「忍びの里伊賀」創生プロジェクトとは
  • 産学官民が連携するメリット
  • 産学官民と連携するときに必要なこと

を紹介します。「イベントの開催はハードルが高い」と感じるかもしれませんが、概要をつかむだけなら簡単です。

まずは「忍びの里伊賀」創生プロジェクトについて、ざっくりと理解しましょう!

「忍びの里伊賀」創生プロジェクトとは、忍者コンテンツによる観光客の呼び込み

2017年11月から、伊賀市が「忍びの心・技・体」を体験できるプログラムを提供しています。

このプロジェクトの主催は伊賀市だけではありません。

  • 伊賀市
  • 三重県
  • 三重大学
  • 日本航空株式会社(以下、JAL)

上記の4つの企業や団体が協力しています。

プロジェクトの目的は、“県内固有の日本文化を発信すること”です。

というのも伊賀市は、忍者や伊賀焼きなど、ここにしかない文化が盛んに発達するエリア。市はこれらの文化を発信することで、インバウンド客など観光客の呼び込みにつなげていく予定です。

次で詳しく解説します。

三重県伊賀市は2017年2月に、「忍者市」を宣言

伊賀市は“伊賀流忍者の発祥の地”であることを、長年アピールしています。

そして2017年、忍者を活かした観光客の呼び込みやまちづくりを目的として、忍者の日である2月22日に「忍者市」の宣言をしたのです。

海外でも、忍者の存在は有名です。日本忍者協議会の調査によると、忍者を知っている外国人は98.7%にものぼり、現存すると思っている人は63.1%も存在しています。

出典:PR Wire「日本忍者協議会が、 世界全11か国(国内含む)で、“忍者” に関する世界規模の調査」

またアニメ『忍たま乱太郎』や『NARUTO』の影響もあり、インバウンド客から忍者の注目が高まっているのです。

「忍びの里伊賀」創生プロジェクトで提供されるイベントやプログラム

「忍びの里伊賀」創生プロジェクトでは、以下の取り組みを実施しています。

【イベント】
大山田(おおやまだ)地域におけるトレイルランニングレースの開催。

  • 目的:かつて忍者が駆け巡った山々をランニングすることで、心・技・体を鍛えて忍者の精神を学ぶ。
  • 「第1回NINJA TRAIL RUNNING RACE」を2017年11月3・4日に開催。約330人が参加。

【体験プログラム】
丸柱(まるばしら)地域における体験プログラムの提供。

  • 目的:忍者の生活をもとにした日本文化を体験してもらう。
  • 午前中は農作業、午後は陶芸の体験。そして古民家へ宿泊。
  • ターゲットは欧米の富裕層

日本文化やイベントをアピールすることは、インバウンド客が地方を訪問するきっかけにつながります。

そしてこの「忍びの里伊賀」創生プロジェクトは、官公庁や教育機関と連携する“産学官民”プロジェクトの1つです。産学官民の連携は、地方がインバウンド客を呼び込むときに有効な手段です。

続いては、産学官民が連携してインバウンド誘致をするメリットを解説します。

地方エリアのインバウンド誘致には、産学官民連携プロジェクトが有効

“産学官民連携プロジェクト”とは、以下の4つの組織や人が協力して実施する取り組みのことです。

  • 産業界(民間企業)
  • 学校(教育機関)
  • 官公庁(国や地方自治体)
  • 民間(地域住民や一般社団法人)

インバウンド客を呼び込むイベントの開催など、地方自治体だけではなかなか難しいこともありますよね。民間企業や教育機関と協力することで、イベントの開催や広報活動などがスムーズにできます。

産学官民が連携するメリットを、次で詳しく解説します。

産学官民が連携するメリットは、役割分担ができること

産学官民が連携するメリットは、「役割分担ができてそれぞれの負担が少なくなること」です。

今回であれば、役割分担は以下の通りです。

  • 忍者トレイルランニングレース実行委員会:イベントの開催
  • 三重大学:忍者の生活様式などに関する調査と裏付け
  • JAL:機内誌などでの広報活動
  • 伊賀市、三重県:プロジェクト全体の調整

これらの仕事を地方自治体だけで実施しようとなると、かなりの準備期間や人手が必要ですよね。さまざまな組織と協力することで、1つ1つの組織の負担も少なくなり、自分たちの役割に集中できます。

また産官学が連携することで注目度もアップし、メディアで取り上げられる機会も増加。認知度がアップすれば、訪日外国人へのさらなるアピールに。今まで以上にインバウンド客の増加が期待できます。

もしも「どこから協力を頼めばいいのだろう」というときは、“DMO”に協力を頼むのは1つの選択肢です。DMOについては「DMO(Destination Management Organization)とは?地域においてインバウンドを獲得する仕組みを解説」で解説しています。

そして「忍びの里伊賀」創生プロジェクトでは今後、ほかの忍者にゆかりのある土地でも、同様の取り組みを実施したいと述べています。

例えば長野県にある戸隠、佐賀県の嬉野市など。忍者に関係のある土地や観光地であれば、今回の事例を参考に、インバウンド誘致に取り組むことができます。

最後に、伊賀市のように産学官民との連携でインバウンド誘致をするときに、必要なことをお伝えします。

「忍びの里伊賀」創生プロジェクトから学ぶ、産学官民でのインバウンド誘致に必要なこと

地方エリアが産学官民と連携するときは、

  1. 多言語での対応
  2. 食事や宗教などへの理解と対応
  3. 日本文化の体験ができる

の3つが必要です。詳しく解説します。

英語や中国語、フランス語など多言語での対応

今回であればターゲットは欧米の富裕層です。欧米といっても英語だけでなく、

  • フランス語
  • ドイツ語
  • スペイン語

など、使用言語はさまざまです。

また日本にはアジアからの観光客も多いため、中国語や韓国語などへの対応も欠かせません。

英語や自国の言語でツアーの説明、文化の説明をした方が、インバウンド客は理解しやすいはずです。イベントの開催時には、多言語を話せるスタッフを配置しましょう。

食事や宗教など、生活習慣への対応

訪日外国人の中には、ベジタリアンやハラルフードなど食事に制限がある人もいます。食事付きの体験プログラムの場合、彼らが食べることができない食品には、注意が必要です。

ベジタリアンについて詳しくは「ベジタリアンとは?飲食店のベジタリアン対応から、食事の注意点まで解説します」をチェックしてください。

またハラルフードについて詳しくは、「ハラルフードとは?豚肉やアルコールを使わない日本食の提供で、ムスリムの集客につながる」で解説しています。

「コト消費」である日本文化の体験ができること

インバウンド客はコト消費を求める傾向が強いです。

実際に日本政府観光局(JNTO)の調査でも、旅行の目的として以下の項目が人気です。

  • 日本食を食べること
  • ショッピング
  • 自然や景勝地の観光

出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日旅行データ ハンドブック世界20市場 2017年」

まだまだモノ消費である「ショッピング」も人気ですが、“日本食を食べる”や“日本の風景を楽しむ”、“お城など歴史ある場所を鑑賞する”などのコト消費も人気が高まっています。

地方には山や田園風景など、観光資源が多いです。これらを楽しめること、地方にしかない食事ができることをアピールすることで、インバウンド客の増加が期待できます。

モノ消費からコト消費への移り変わりについて詳しくは、「『モノ消費からコト消費へ』は本当?訪日外国人の目的別消費額の比較から見るインバウンド効果」で解説しています。

このように産学官民との連携をすることで、新たなインバウンド対策を実施できます。

まずは自分たちのエリアの魅力を考えて、協力してもらえる団体や企業をチェックしてみましょう。

「忍びの里伊賀」創生プロジェクトのように、産学官民の連携でインバウンドを呼び込もう

ここまでをおさらいします。

「忍びの里伊賀」創生プロジェクトとは、伊賀市による観光客の呼び込みを目的とした取り組みです。

このプロジェクトでは、

  • 伊賀市
  • 三重県
  • 三重大学
  • 日本航空株式会社(JAL)

の4つが協力しながら、イベントの開催や体験プログラムの提供などをしています。

これらのように企業や地方自治体などが連携することを、“産学官民連携プロジェクト”と言います。

産学官民が連携するメリットは、「役割分担ができ、地方の負担が少なくなる」ことです。広報活動など、それぞれが得意とする分野に専念することで負担が減少。自分たちの役割に集中できます。

そしてインバウンド効果を実感するためには、以下の準備が必要です。

  1. 多言語での対応
  2. 食事や宗教などへの理解と対応
  3. 日本文化の体験ができる

インバウンド客がスムーズに、ストレスなく観光や日本文化の体験ができることで、その土地のリピーターになることも。地方エリアの認知度アップや、さらなるインバウンド客の増加が期待できます。

今回は“忍者”などの日本文化を使ったインバウンド誘致でしたが、スポーツを使った「スポーツツーリズム」も、有効なインバウンド対策の1つです。

スポーツツーリズムについて詳しくは、「スポーツツーリズムでインバウンドの呼び込み!地方都市の成功事例と課題」をチェックしてみてください。

 

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