サスティナブルツーリズムとは?環境や文化を守ることが、持続的な観光客の呼び込みに

「最近、観光客が増えた。けど、この盛況がずっと続くとは思えない…」

と感じている地方自治体の方。

この記事では「サスティナブルツーリズム」という観光用語を説明します。これは「“持続可能な観光”を求める考え方や行動」という意味です。

サスティナブルツーリズムでは環境や文化の侵害やビジネス化を避けながら、観光を提供。豪華客船が、サスティナブルツーリズム国際認証を取得している地域に優先的に寄港するなど、注目度がアップしています。

つまり、サスティナブルツーリズムの実践で、観光客が増加する可能性があるのです。

とはいえ、なかなか耳にしない言葉ということもあり、何をすればよいのかイメージしにくいですよね。

そこで今回は、

  • サスティナブルツーリズムとは
  • サスティナブルツーリズムに欠かせない2つのこと
  • サスティナブルツーリズムを活用した群馬県みなかみ町

を紹介します。「サスティナブルツーリズムを目指すのは難しそう」と感じるかもしれませんが、概要をつかむだけなら簡単です。

まずはサスティナブルツーリズムについて、ざっくりと理解しましょう!

サスティナブルツーリズムとは、「持続可能な観光」を求める考え方や動き

サスティナブルツーリズムとは、「持続可能な観光」という意味です。

観光地における環境の悪化や文化の侵害、過度な商業化を避けながら、観光地本来の姿を求める考え方や行動のことを指しています。地域の環境や自然、文化を切り売りするのではなく、それらを守りながら本物の自然体験などを提供します。

サスティナブルツーリズムの例

「サスティナブルツーリズムって、具体的にどんなことを指してるの?」

と思うかもしれませんが、

  • ラフティングなどのアクティビティ
  • 歴史ある街並みや建物の見学ツアー
  • 国立公園を散策

などがサスティナブルツーリズムの一例です。

これらの取り組みによる収益の一部は、破壊された環境や文化の修復に使用します。

これに近い動きは、アクティビティサイトと環境省による国立公園オフィシャルパートナーシップの締結です。詳しくは、「Voyagin、環境省と国立公園オフィシャルパートナーシップを締結。概要や背景、取り組みを解説」で紹介しています。

また、以下もサスティナブルツーリズムの1つです。

  • 入境する人数の制限
  • 必要な搭乗客のみに機内食を出す
  • 電気自動車の排ガス規制

サスティナブルツーリズムのターゲット

サスティナブルツーリズムを好む人は、

  • 社会や環境問題に関心の高い高所得者層
  • 若年層の旅行者

などの属性が多いです。

また国連は、2017年を「開発のための持続可能な観光の国際年」と定めました。この決定により、サスティナブルツーリズムを推奨するエリアや国が、今後増えていくことが予想されています。

続いては、サスティナブルツーリズムが広まった要因を解説します。

マスツーリズムが要因で、環境や文化の悪化が発生

サスティナブルツーリズムが広まった要因は、「マスツーリズムによる環境汚染や自然破壊などの悪化、過度な商業化」です。

マスツーリズムとは、“観光や旅行が幅広い層の人に広まった現象”です。

もともと観光は、富裕層を中心に楽しまれていたものでした。しかし第二次世界大戦のあと、アメリカやヨーロッパなどの先進国で、一般市民にも観光が普及。

これにより、以下の問題が発生したのです。

  • 環境や文化の破壊
  • 観光地の疲弊
  • 旅行者のモラル

マスツーリズムによって、旅行の低価格化や経済の繁栄、観光芸術の誕生などメリットはあるものの、このままだと観光の恩恵を継続的に受けることは難しいでしょう。

これらマスツーリズムの効果を持続させるためにも、サスティナブルツーリズムの考え方が必要です。

ここまでサスティナブルツーリズムについて、解説しました。

とはいえ、どのようにしてサスティナブルツーリズムを目指せばよいのかは、なかなかわかりにくいですよね。

そこで次はサスティナブルツーリズムに必要な、国際認証や全国フォーラムについてお伝えします。

サスティナブルツーリズムに欠かせない国際認証と全国フォーラム

地方自治体が知っておきたいこととして、

  1. サスティナブルツーリズム国際認証
  2. 日本エコツーリズムが開催する全国フォーラム

の2つを紹介します。

サスティナブルツーリズム国際認証が、インバウンド客増加のきっかけに

「サスティナブルツーリズム国際認証」とは、サスティナブルツーリズム達成の目安、指標となる制度です。この国際認証を取得することで、インバウンド客が増える可能性があります。

というのもこれは世界共通の認証で、認証を受けているだけで「環境や文化を守る意識のある観光地」だとみなされます。

例えば、豪華客船「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」は、サスティナブルツーリズム国際認証のある地域において、陸上ツアーを優先的に採用しています。

認証を持っていることでクルーズ観光の寄港地となり、今までよりたくさんの観光客が訪問。観光客が増えることで、売上アップも期待できます。

このように世界的な認証だからこそ、取得しておくとインバウンド客や海外の旅行会社などからの注目度が高くなるのです。

クルーズ観光での消費額アップのコツは、「クルーズ観光のインバウンド課題「消費額アップ」のコツとは。那覇港の事例から学ぶ」で詳しく解説しています。

サスティナブルツーリズム国際認証を取得しているエリア

国際認証を取得している世界のエリアは、以下の通りです。

【アイスランド】

  • スナイフェルス半島
  • 西部フィヨルド

【スペイン】

  • カタルーニャ州
  • ヒホン
  • ラ・パルマ島
  • アラン谷
  • ランサローテ島

【メキシコ】

  • プエルト・エスコンディード
  • ワタルコ
  • ヌエボ・バジャルタ
  • イスタパ

【オーストラリア】

  • スレドボ
  • ロットネスト島

【ニュージーランド】

  • カイコウラ

国際認証があることで、実際にスペインの2017年度の観光客数は約8,200万人を記録しています。

出典:MSN「スペイン、昨年の訪問観光客数で米国抜き世界第2位に」

このように国際認証が、観光客が増えるきっかけにつながるのです。

サスティナブルツーリズム国際認証の手続き

国際認証を受ける方法ですが、今は日本語で受け付けている窓口がありません。

海外の団体に申請する必要があり、受付は外国語のみ。また認証機関に、100万円以上の支払いが必要になる場合もあります。

出典:富士通総研「サステイナブル・ツーリズム国際認証取得の重要性」

ただし現在、日本エコツーリズムセンターが、日本語で手続きできる国際認証の制度を整えているところです。

今後は日本エコツーリズムセンターによって、国際認証の手続きが簡単になる可能性も。手続きが日本語でできると、申請のハードルが下がるはずです。

日本エコツーリズムセンターが開催する全国フォーラム

サスティナブルツーリズムに関する全国フォーラムが、NPO法人日本エコツーリズムセンターによって開催されています。

全国フォーラムでは、講演やパネルディスカッション、認証に関する研究会などに参加可能。サスティナブルツーリズムに関する知識や、事例を学ぶことができます。

2014年のスタートから、

  • 和歌山田辺市
  • 群馬県片品村
  • 秋田県仙北市
  • 長崎県島原半島

の4つのエリアで開催しています。

これらのイベントに参加することで、実際にサスティナブルツーリズムを実践している地域の具体例を聞くことができます。

ここまで、サスティナブルツーリズムについて知っておきたいことをお伝えしました。

とはいえ、どのような観光方法がサスティナブルツーリズムなのか、まだまだイメージしにくいですよね。

そこで続いては、サスティナブルツーリズムを実践している、群馬県みなかみ町の事例を紹介します。

群馬県みなかみ町の事例:自然のキャパを超えないアクティビティを提供

群馬県にあるみなかみ町は、ラフティングが盛んな場所です。

ニュージーランド出身のマイク・ハリス氏が、1998年に創設したアドベンチャーツアー会社「キャニオンズ」が中心となり、アウトドア事業を展開。このラフティングがサスティナブルツーリズムであり、自然を保護しながら観光客を受け入れるコンテンツになっているのです。

いったいどういうことなのか、以下で詳しく解説します。

安全基準や自然配慮のルールを徹底したラフティングで観光客の呼び込み

みなかみ町はラフティングだけでなく、

  • 温泉
  • スキー

なども人気の観光地です。

しかしハリス氏がみなかみ町に来たとき、90年代後半には約170万人いた観光客が、2009年には約86万人と、半数まで落ち込んでいました。

また日本のアウトドア業界は、海外のように事業者のあいだで統一された基準がありません。つまり、安全や自然への配慮に関するルールがあいまいなのです。そのため経験が浅く、品質の良くない業者の参入もできてしまう状態でした。

出典:経済産業省「事例検証」

しかしハリス氏から見ると、みなかみ町は世界的選手権ができるほどの好立地です。せっかくの観光資源を活用して観光客を増やすためにも、ラフティング事業をスタートしました。

ラフティングや文化体験を提供し、観光客は約366万人に回復

ラフティング事業をスタートするとき、ハリス氏は以下のことを実施しました。

  • 町内のアウトドア会社同士で自然環境の活用のあり方を話し合う
  • 事故防止として、普通救命講習など資格を持ったガイドを採用
  • ラフティングだけでなく、和太鼓や田植えの体験ツアーも実施

このように安全や自然を守りながら、ツアー客に地域特有の文化体験も提供。その結果、2016年度にみなかみ町を訪れた観光客は、約366万人を記録しました。

出典:群馬県観光局観光物産課「平成28年観光客数・消費額調査(推計)結果」

みなかみ町が実践したインバウンド対応

さらにみなかみ町はインバウンド対応として、以下も実施しています。

  • Wi-Fi環境の整備
  • 映像メディア「Minakami TV」を作成し、町の様子を配信
  • 多言語パンフレットの作成

これらを実施することで、サスティナブルツーリズムに注目するインバウンド客も呼び込むことが可能に。

自然や文化を守りながら、さらなる観光客の呼び込みが期待できます。

サスティナブルツーリズムを実践して、長期的なインバウンド効果を

ここまでをおさらいします。

サスティナブルツーリズムとは、「持続可能な観光」という意味です。観光地における環境の悪化や文化の侵害、過度な商業化を避ける目的で、観光地本来の姿を求めます。

近年マスツーリズムによる環境や文化の破壊を避けようとする動きが強まっているのが現状です。これにより、サスティナブルツーリズムは世界各国で注目されています。

また、サスティナブルツーリズムについて注目したいのが、

  • サスティナブルツーリズム国際認証
  • NPO法人日本エコツーリズムセンター主催の全国フォーラム

という制度やイベント。

サスティナブルツーリズム国際認証を持つことで、「自然や文化を守る意識のある観光地」とみなされます。これにより、クルーズ観光の寄港地となるなど、観光客が増える可能性がアップするのです。

そしてサスティナブルツーリズムを実践している事例として、群馬県にあるみなかみ町を紹介しました。

自然環境を守りながらアクティビティや文化体験を提供したことで、みなかみ町の観光客数は約86万人から約366万人まで回復しました。そして現在も、サスティナブルツーリズムとして多くの観光客を楽しませています。

このようにサスティナブルツーリズムを実施することで、世界から注目されるチャンスが増加。インバウンド客の増加が期待できます。

まずは自分たちのエリアで、長く提供できる観光資源を探してみましょう。

そして、今回紹介したアクティビティやスポーツによる観光客の呼び込みは、インバウンド客に効果的です。その中でもスポーツは「見るスポーツ」と「するスポーツ」に分けることができ、観光客によって好みが異なります。

「見るスポーツ」や「するスポーツ」について詳しくは、「インバウンド客に人気の見るスポーツ・するスポーツとは。ー「スポーツ観光」の調査より」をチェックしてみてください。

 

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