東武鉄道のインバウンド対策10個。訪日外国人を日光に約10万人も呼び込んだコツとは?

「インバウンド客を地方に呼び込むには、どうしたらいいんだろう…」

と感じている地方自治体の方。

地方エリアの集客には、移動手段の確保やインターネット環境の設備、さらには観光スポットの周知など、さまざまな課題があります。

これらの課題を「東武鉄道」が解決し、日光など地方エリアの集客に成功しています。

東武鉄道は以下のカテゴリー別に、インバウンド対策を実施しています。

  • 鉄道
  • Web・SNS
  • 旅行商品や受け入れ体制

その結果、2017年度の日光エリアのインバウンド客は約10万人を記録しています。

とはいえ、具体的にどんな対策をすればいいのか、なかなかわかりにくいですよね。

そこで今回は、

  • 東武鉄道がインバウンド対策を実施した背景
  • 東武鉄道のインバウンド対策10個

を紹介します。

「実施するのは難しい」と感じるかもしれませんが、対策を知るだけならハードルは高くありません。

まずは、インバウンド対策を実施した背景からお伝えします。

東武鉄道がインバウンド対策に力を入れる背景は、宿泊客を増やすため

東武鉄道がインバウンド対策を実施したのは、「宿泊客を増やして、地域の消費額をアップさせるため」です。

というのも、2015年度に日光を訪れた観光客は約1195万人。そのうち宿泊客は約352万人と、日帰り客が中心でした。

出典News Insight:「東武鉄道が日光を攻略してコンプリートしたいもの」

日帰りの観光だと、宿泊費や食事代などがほとんど必要ないため、地方の消費額はなかなか増えません。

そこで東武鉄道は宿泊客を増やすために、インバウンド戦略部を発足。

その結果、2017年には観光客の数が約1209万8,700人に。そのうちインバウンド客は約10万人と、過去最高を記録しています。

出典:下野新聞「日光への観光客、初の1200万人超え 2017年」

続いては東武鉄道が、インバウンド客の増加にこだわった理由を紹介します。

インバウンド客は長期滞在する傾向がある

インバウンド客は「長期滞在を好む」傾向が強いため、消費額アップが期待できます。

例えば観光庁のデータによると、2017年度のインバウンド客の滞在日数は平均5.8日。そして欧米豪からの観光客は、さらに長い滞在を好みます。

例えば、

  • オーストラリア:12.8日
  • ドイツ:14.1日

などです。

出典:観光庁「訪日外国人の消費動向」

そのためインバウンド客がスムーズに旅行できる環境を整えることで、長期滞在の観光客が増加。地方エリアでの消費額アップにつながります。

とはいえ、具体的にどんな対策が効果的だったのか、わかりにくいですよね。

そこで続いては、東武鉄道のインバウンド対策を3つのカテゴリーにわけて紹介します。

東武鉄道のインバウンド対策【鉄道編】

まず鉄道関係のインバウンド対策として、以下5つを実施しています。

  1. 券売機の多言語化
  2. クーポンや周遊パスの発行
  3. 観光案内所の設置
  4. 交通案内サインの統一化
  5. 無料Wi-Fiの用意

1つずつ解説しますね。

1.券売機の多言語化:23の駅で合計8カ国語に対応する券売機を導入

2018年2月より多言語対応のできる自動券売機を、23の駅に合計52台も導入しました。

今までは日本語と英語のみでしたが、新たに

  • 中国語(繁体字・簡体字)
  • 韓国語
  • フランス語
  • スペイン語
  • タイ語

を追加しています。

2.鉄道のクーポンや周遊パス:割引パスで移動へのハードルを下げる

以下のエリアで、お得な周遊パスを発行しています。

  • 日光
  • 川越

それぞれ紹介します。

日光エリアで使用できるディスカウントパス2つ

日光では、鉄道とバスのフリー乗車パスが販売されています。

【NIKKO PASS all area】

  • 料金:4月中旬〜11月は4,520円、12〜4月中旬は4,150円。
  • 有効期限:4日間

【NIKKO PASS world heritage area】

  • 料金:2,000円
  • 有効期限:2日間

またこれらのディスカウントパスを提示することで、「東武ワールドスクエア」と「日光江戸村」に割引価格で入場可能です。

川越エリアで使用できるディスカウントパス2つ

川越でも、鉄道やバスが乗り放題になるパスを発行しています。

【KAWAGOE DISCOUNT PASS】

  • 料金:700円
  • 有効期限:当日限り

【KAWAGOE DISCOUNT PASS PREMIUM】

  • 料金:950円
  • 有効期限:当日限り

これらのディスカウントパスで、日光エリアの周遊や移動範囲の拡大をねらいます。

3.観光案内所の設置:手ぶらカウンターやコンシェルジュ、サイネージによる案内

2017年3月に、東武日光駅にあるツーリストインフォメーションセンターが、リニューアルオープンしました。

そして、以下のおもてなしを追加しています。

  • 手ぶらカウンターの設置
  • 英語の話せるコンシェルジュが対応
  • デジタルサイネージによる観光案内

コンシェルジュの対応は、道案内だけではありません。宿泊施設や現地発のツアーの予約も受け付けており、インバウンド客の観光を促しています。

「手ぶら観光って何だろう…」という方は、「手ぶら観光が訪日外国人の地方都市への訪問を促す。国土交通省が民間事業者へカウンター設置を呼びかけ」をご一読ください。

デジタルサイネージについて詳しくは「サイネージを使ったインバウンド対策。7つの事例を飲食店や小売店、地方などジャンル別に紹介します」で解説しています。

4.交通案内サインの統一:案内を統一し、スムーズな移動を手助け

東武鉄道は、関越交通株式会社や東武バス日光株式会社などと協力し、交通サインを統一しています。

内容は、以下の通りです。

  • 案内を多言語表記に変更
  • ピクトグラム(絵文字)を使用

絵文字やデザインを統一することで、日本語がわからないインバウンド客でも乗り場などがわかるように。移動をスムーズにする手助けをしています。

5.無料Wi-Fiの用意:Wi-Fiに接続すると、観光案内などコンテンツを表示

東武線にある122駅、そして特急列車「スペーシア」「りょうもう」の全車両に、無料の「TOBU FREE Wi-Fi」を導入しています。

このWi-Fiでは、接続したユーザーに強制的にコンテンツを表示できる「リダイレクト機能」を活用しています。アクセスする場所ごとに、表示するコンテンツを変更可能に。

ここで観光スポットなどを表示することで、プロモーションとして活用できます。

ここまで鉄道関係のインバウンド対策をお伝えしました。

続いては、WebやSNSでの対策を紹介します。

東武鉄道のインバウンド対策【Web・SNS編】

WebやSNSでのインバウンド対策として、

  1. Webサイト「TOBU JAPAN TRIP」の開設
  2. FacebookやWeChatなどSNSでの発信
  3. 有名ブロガーの招待

の3つを紹介します。

1.多言語Webサイト:「TOBU JAPAN TRIP」で観光案内

東武鉄道では、多言語のWebサイト「TOBU JAPAN TRIP」を開設しています。

サイト内では、

  • 観光
  • グルメ
  • ショッピング
  • 宿泊

など、各スポットを英語や中国語などで紹介。

インバウンド客の、旅マエの計画に役立っています。

2.FacebookやInstagram、中国のWeChatなどSNSで情報発信

東武鉄道は、SNSのアカウントで情報発信もしています。

  • Facebook:いいね数は約17万6,000
  • Instagram:フォロワー数は約2,400人
  • WeChat:公式アカウントを設置し、写真やイベント情報を発信
  • Weibo:フォロワー数は約2万7,000人

インバウンド客の約72.1%がスマホで情報収集をしているため、集客にはSNSが欠かせません。

出典:観光庁「旅行動態の変化の状況」

SNSを通じて、日光など地方エリアに興味を持つ人を増やしています。

3.インフルエンサーの招待:中国人ブロガー2名を招待し、ファンにアプローチ

東武鉄道は、中国人ブロガー2名を東武沿線の観光地に招待。観光スポットを案内し、日本旅行を体験してもらっています。

2人はWeiboのフォロワー数が、合計で約130万人にもなる人気ブロガー。帰国後に各ブログやSNSにアップしてもらうことで、東武沿線の観光スポットの認知度アップが期待できます。

ここまでWebやSNSの対策を紹介しました。

続いては、旅行商品や受け入れ体制など、その他の対策を紹介します。

東武鉄道のインバウンド対策【その他】

最後にその他の対策として、

  1. ツアーなど旅行商品の販売
  2. 英語での接客など受け入れ体制の強化

を紹介します。

1.旅行商品:欧米豪向けのツアーを企画し、富裕層を呼び込む

2017年9月、東武鉄道と訪日ツアー会社「BOJ (BEAUTY OF JAPAN)」が協力し、欧米豪の富裕層に向けた旅行商品の企画や販売をスタートしています。

ツアー内容は、以下の通りです。

  • 座禅体験プログラム:新型特急リバティを利用した日光を巡り、世界遺産の輪王寺で座禅体験
  • 中禅寺湖ハイキングツアー:日光の新緑や紅葉を体験

東武鉄道が企画しているため、移動手段を確保した旅行商品の販売が可能に。また欧米豪が好む自然やお寺など、日本文化をアピールしたツアーを企画しています。

2.受け入れ体制の強化:東武グループの商業施設で接客の研修

東武鉄道には、レジャーや小売などいくつかのグループ会社があります。

グループ会社である東京ソラマチ、浅草エキミセ、東武百貨店池袋店の飲食店スタッフを対象に、以下の研修を実施しました。

  • 英語での接客
  • Web対応
  • 口コミの対応

東武鉄道だけでなく、グループ全体でインバウンド対策に力を入れています。

東武鉄道のようなインバウンド対策を実施することで、インバウンド客の満足度がアップ。日光エリアのインバウンド客増加につながったのです。

東武鉄道のインバウンド対策を参考に、観光客を地方に呼び込む

ここまでをおさらいします。

東武鉄道がインバウンド戦略部を発足して、海外からの観光客への対応を充実させています。

この背景には、「日光エリアの宿泊客や消費額をアップする」という目的がありました。日光は人気の観光地にもかかわらず、日帰り客が中心で宿泊客が増えにくかったのです。

この状況を改善するために、東武鉄道は以下のインバウンド対策を実施しています。

【鉄道】

  • 券売機の多言語化
  • クーポンや周遊パスの発行
  • 観光案内所の設置
  • 交通案内サインの統一
  • 無料Wi-Fiの用意

【Web・SNS】

  • Webサイト「TOBU JAPAN TRIP」で情報発信
  • FacebookやWeChatなどSNSアカウントを開設
  • 有名ブロガーを招待

【その他】

  • ツアーなど旅行商品を企画し販売
  • 英語での接客など受け入れ体制を強化

これらを実施したことで、日光エリアの観光客数は約1209万人に増加。そのうちインバウンド客は約10万人と、過去最高を記録しています。

まずは東武鉄道の事例を参考に、インバウンド客の移動手段の整備からはじめてみてはいかがでしょうか。

今回は鉄道のインバウンド対策を紹介しましたが、インバウンド客の移動手段にはバスも必要です。観光バス業界のインバウンド対策については、「インバウンド需要の変化に観光バスはどう立ち向かうのか」で紹介していますので、チェックしてみてください。

 

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