地方自治体が考える「Nishi Awakura Coin (NAC)」とは?事業の資金調達に“ICO”を使うことで、観光客や移住者の増加につなげる

「観光客や移住者を増やしたいけれど、具体的にどんなことをすればいいんだろう…」

と悩んでいる地方自治体の方。

岡山県にある西粟倉村の事例が参考になります。西粟倉村は、人口1,500人の自治体にもかかわらず、起業家への支援などで人口増加に取り組んでいる地域の1つです。

西粟倉村の取り組みは、起業家支援だけではありません。資金調達として「Nishi Awakura Coin (NAC)」というICOを活用することで、さらなる観光客や交流人口の増加を計画しています。

とはいえ、ICOなどなじみのない言葉で、なかなかイメージしにくいですよね。

そこで今回は、

  • ICOの仕組み
  • Nishi Awakura Coin (NAC)とは
  • 地方創生にICOを活用するメリット
  • ICOを使うときの流れ

を紹介します。「初めて聞くことばかりで難しそう」と感じるかもしれませんが、概要をつかむだけならハードルは高くありません。

まずはICOの仕組みについて、簡単に解説します!

ICOの仕組み:仮想通貨で資金を調達し、商品やサービスを作る

ICO「Initial Coin Offering」(イニシャルコインオファリング)とは、企業や自治体が事業資金を調達する手段の1つです。別名を「クラウドセール」「トークンセール」「トークンオークション」などと言います。

ICOの支援者(投資家)は、仮想通貨を使って支援先から「トークン」を購入します。トークンとは、仮想通貨を使って支援したことを証明する株券のようなもの。このトークンに支払ったお金が、事業資金となります。

支援者はトークンで、完成した商品やサービスの購入も可能です。もしくは、トークンを売買して利益を得ることもでき、新たな経済圏の誕生にもつながります。

IPOやクラウドファンディングとの違い

今まで事業の資金調達は、「IPO(新規公開株)」や「クラウドファンディング」などが中心でした。これらとICOの違いを、簡単に解説します。

【IPOとの違い】
IPOとは、上場前の企業の株券を購入してもらうことで、資金を調達する方法。支援者は優待や、経営に意見する権利が得られます。

  • IPOの場合、証券会社の監査が必要
  • ICOは監査がないため、資金調達にかかる時間が短縮できる

【クラウドファンディングとの違い】
クラウドファンディングとは、自分が作りたい商品やサービスに対して、インターネットで支援を募集するサービス。例えば、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)Ready for(レディーフォー)など。

  • クラウドファンディングは、商品やサービスを提供するのみ
  • ICOはほかの人へトークンを売る、事業の商品やサービスを購入するなど、トークンの活用方法が幅広い

クラウドファンディングは、地方自治体の資金調達によく使われています。徳島県の事例を「クラウドファンディングで阿波おどりの資金を集める。徳島市の取り組みを紹介」で紹介していますので、ご一読ください。

ここまで、ICOの仕組みをお伝えしました。

続いては、Nishi Awakura Coin (NAC)について解説します。

Nishi Awakura Coin (NAC)とは、岡山県・西粟倉村が考案したICO

「Nishi Awakura Coin (NAC)」とは、岡山県にある西粟倉村が考案したICOの1つです。

西粟倉村は、人口が約1,500人、村の面積の約95%が森林で占められている地方自治体です。そしてこれまで多くの地方自治体が合併してきましたが、西粟倉村は一度もほかの市町村と合併していません。自立を選び、人口増加に取り組んでいます。

Nishi Awakura Coin (NAC)は「持続可能な地域づくり」を目指すために、考案されました。その背景を次で説明します。

「Nishi Awakura Coin (NAC)」考案の背景:人を中心とした地域づくりを加速させる

Nishi Awakura Coin (NAC)を実施する背景は、“人を中心とした地域づくりを加速させるため”です。

というのも西粟倉村は、今までにも以下のような取り組みをしています。

  • 林業の第6次産業化:伐採から加工、流通までを西粟倉村で実施。
  • ローカルベンチャースクール:「起業+移住」の支援。西粟倉村で事業を起こしたい若者に支援をし、移住者を増やす。
  • 川の再生:子供たちが川や魚と遊べる場所を作るために、クラウドファンディングで資金を集める

これらの取り組みもあり、人口1,500人のうち約130人が移住者に。そして「2060年までに1680人まで人口を増やす」という新たな目標のために、ICOで移住や起業の支援を実施し、地域の活性化に取り組んでいるのです。

ただし日本では現在、ICOのトークンを直接的に販売することが許可されていません。そのため西粟倉村は「一般社団法人西粟倉村トークンエコノミー協会」を新たに設立し、金融庁などと連絡を取って、準備を進めていく予定です。

Nishi Awakura Coin (NAC)が実現した後の支援の流れ

Nishi Awakura Coin (NAC)が実現した際は、以下の流れで活用します。

  1. 支援者は仮想通貨「イーサリアム」でNishi Awakura Coin (NAC)を購入する
  2. 購入すると、支援者に「投票権」が与えられる
  3. 支援者は「投票権」を使って、西粟倉村のローカルベンチャーから1つ選んで投票する
  4. 事業者は調達した資金をもとに、商品やサービスを作る
  5. 支援者は投票した事業の構想や、地域づくりに参加できる
  6. 事業者のサービスや商品が完成したら、支援者はそれらの購入や利用ができる

支援者と協力して事業を考えることで、新たな商品やサービスが生まれる確率が高まります。

そしてNishi Awakura Coin (NAC)の実現により、

  • 移住者が増えて、人口が増える
  • 観光事業を作り上げることで、国内外からの観光客が増加
  • 地域のホテルや飲食店、小売店の売上アップ

などの効果が期待できます。

とはいえ、本当にICOで効果が出るのか、疑問に感じますよね。

そこで次は、地方創生にICOを活用するメリットを解説します。

Nishi Awakura Coin (NAC)のように、地方創生にICOを使うメリット

地方創生にICOを使うメリットとして、

  1. 商品やサービスへの先行投資が実現する
  2. インターネットを通じて、どこからでも資金調達が可能
  3. ホワイトペーパーによって、世界中に地域の魅力が発信できる
  4. 今までよりも大きな金額の資金が調達できる
  5. 証券会社など第3者の介入がないため、借入利率が発生しない

の5つがあります。1つずつ解説しますね。

1.商品やサービスへの先行投資が実現する

ICOの最大のメリットは、商品やサービスが完成する前に資金を集められることです。

また起業家や個人など信頼の低い組織でも、監査がないためすぐに支援を募ることが可能に。新たな事業誕生の確率が高まります。

2.インターネットを通じてどこからでも資金調達が可能

ICOはインターネット環境があれば、どこからでも支援を受けることができます。

また支援側も、少額でどこからでもトークンの購入が可能。国内からだけでなく、世界中から資金調達が可能です。

3.ホワイトペーパーで世界中に地域の魅力が発信できる

ICOでは企画書「ホワイトペーパー」の公開が欠かせません。

内容は例えば、

  • トークンを発行する理由
  • トークンの価値
  • 今後の販売方法

などです。

支援者たちは、このホワイトペーパーを見て支援するかを決定します。特にICOは明確な法律がまだないため、ホワイトペーパーで目的をしっかりと伝えることが欠かせません。

そしてこれらは、インターネットで世界中に向けて公開します。そのため海外の人が、地方自治体を知るきっかけにも。

また外国人の投資家が地方を訪問することで、インバウンド客の増加にもつながります。

4.今までよりも大きな金額の資金調達が可能になる

今までのIPOやクラウドファンディングで調達できる資金は、数百万〜数千万円が限界でした。しかしICOでは、数億〜数千億円の資金調達も可能です。

金額が大きくなると、商品やサービスの質を向上させることも期待できます。

5.証券会社など第3者の介入がないため借入利率が発生しない

IPOから資金調達するときは、借入利率が課されます。借入利率は高く、資金調達をあきらめた地方自治体もあると想像できるほどです。

またクラウドファンディングでは、手数料として調達額の10〜20%をクラウドファンディングの企業に支払う必要があります。すなわち、目標金額を達成しても、その全額を受け取ることはできません。

しかしICOは、対価としての借入利率や手数料が発生しないため、調達した資金をそのまま受け取ることが可能です。

ここまで地方創生にICOを使うメリットを解説しました。

最後に、ICOを使うときの流れを簡単に紹介します。

地方創生のためにICOを活用する流れ

ICOを活用する流れは、以下の通りです。

  1. ICOのアナウンス
  2. 投資家との契約内容を定める
  3. PR活動
  4. 売買
  5. 商品やサービスの開発

1つずつ解説しますね。

1.ICOのアナウンスで存在を知ってもらう

いきなりICOでの資金調達をスタートしても、存在が知られていなければ支援を得ることはできません。そのためまずは、プロジェクトの存在を広めましょう。

例えば、以下の方法が活用できます。

  • PRTIMESなどでプレリリースを実施
  • メディアからの取材を受ける
  • TwitterなどSNSで宣伝

より多くの人に、プロジェクトを知ってもらいましょう。

2.投資家との契約内容を定める

次は、投資家との契約内容である「オファー」を具体的に決め、提案しましょう。

契約内容とは、

  • 最低資金調達額
  • プロジェクトの期限
  • トークンの最大発行枚数

などです。

これらは決定後、地方自治体の公式サイトなどに提示しておくと、やり取りがスムーズです。

3.PR活動で支援を集める

一度プロジェクトをリリースした後も、こまめなPR活動が欠かせません。投資家への直接アプローチやSNSでの発信などで、引き続き支援を集めましょう。

PR活動がうまくいくことで、より多くの資金を調達できる可能性が高まります。

また外国人の支援者にアピールする場合、“インバウンドプロモーション”が参考になります。詳しくは「インバウンドプロモーションとは?インバウンド獲得に必要なポイントやおすすめプロモーション会社まで解説」をチェックしてみてください。

4.ICOの売買(クラウドセール)

トークンのリリースは、希望の調達額のうち、最低金額に達した時点で実施できます。そのため最低金額を超えたところで、ICOの売買をスタートしましょう。

仮想通貨の取引は、一般財団法人「日本地方創生ICO支援機構(JARICOS)」などにサポートしてもらうとスムーズです。

5.商品やサービスの開発に集中する

資金調達が完了したら、商品やサービスの開発に集中します。Nishi Awakura Coin (NAC)のように、投資家の意見を聞いてさらなる改善やクオリティアップも可能です。

このように地方がICOを活用することで、スムーズに短期間で資金を集めることが可能です。

そして新たな事業によって、移住者や観光客が増え、交流人口が増加。地域経済の活性化につながります。

観光客や移住者の増加には、Nishi Awakura Coin (NAC)のようなICOの活用も検討を

ここまでをおさらいします。

ICOとは、仮想通貨を使って企業や自治体が資金調達をする手段です。そして岡山県にある西粟倉村が、ICOである「Nishi Awakura Coin (NAC)」を使って、地方創生を計画しています。

地方創生にICOを使うことは、以下のようなメリットがあります。

  1. 商品やサービスへの先行投資が実現する
  2. インターネットを通じて、どこからでも資金調達が可能
  3. ホワイトペーパーによって、世界中に地域の魅力が発信できる
  4. 今までよりも大きな金額の資金調達が可能になる
  5. 証券会社など第3者の介入がないため、借入利率が発生しない

そして実際にICOをスタートするときの流れは、以下の通りです。

  1. ICOのアナウンス
  2. 投資家との契約内容を定める
  3. PR活動
  4. 売買
  5. 商品やサービスの開発

ICOを活用することで、新たな事業が誕生し、移住や交流人口が増加するきっかけに。地方を訪問する人が増えることで、地域の飲食店や小売店の売上アップなど、経済の活性化も期待できます。

今後もNishi Awakura Coin (NAC)の動向をチェックしていきましょう。

また現在、地方に興味を持つインバウンド客が増加しています。そのため西粟倉村の対策が、ほかの地方自治体でも求められる可能性があります。

地方エリアのインバウンド需要について、詳しくは「地方都市のインバウンド需要が増加。新たな国からの訪日客も」で解説していますので、チェックしてみてください。

 

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