目次
「外国人観光客が日本で困ったことって何だろう…」
と感じている方。
外国人観光客が困ったことは、観光庁が発表しているアンケート結果から知ることができます。2020年3月に発表された最新版では、以下の5つが困りごととしてランクインしていました。
- ゴミ箱の少なさ
- 施設スタッフとのコミュニケーション
- 公共交通機関の利用
- 多言語表示の少なさやわかりにくさ
- 無料の公衆無線LAN環境
特にコミュニケーションについては、数年前から「日本で困ったこと」として上げられています。
とはいえ、どのような対策をすればいいのかは、なかなかわかりにくいですよね。
そこで今回は、
- 外国人観光客が日本で困ったことランキング
- 外国人が日本の公共交通機関で困る場面や理由
- 多言語での対応に活用できる3つのインバウンド対策
を紹介します。
「いきなりインバウンド対策を導入するのは難しい」と感じるかもしれませんが、概要をつかむだけならハードルは高くありません。
まずは観光庁が発表したアンケート結果について、ざっくりと理解しましょう!
外国人観光客が日本で困ったことランキング
観光庁が外国人観光客が困ったことを、ランキング形式で発表しています。
最新版の結果では第1位が「困ったことはなかった(38.6%)」と、訪日外国人を受け入れる体制が改善されていることがわかります。
しかし1位以下には、以下の項目がランクインしています。
【外国人観光客が日本で困ったこと】
- ゴミ箱の少なさ(23.4%)
- 施設スタッフとのコミュニケーション(17.0%)
- 公共交通機関の利用(12.2%)
- 多言語表示の少なさやわかりにくさ(11.1%)
- 無料の公衆無線LAN環境(11.0%)
出典:観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート結果(令和元年度)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001333861.pdf
実はこの上位にランクインしている項目は、2017年のアンケートからほとんど変化がありません。
これまでのアンケート結果とそれぞれの対策について、詳しくは
「外国人観光客の不満ランキング。コミュニケーションや多言語の対応、Wi-Fiなど5つの内容と対策を紹介します」にまとめていますので、ご一読ください。
外国人観光客が最も困ったことで3年連続で「コミュニケーション」がランクイン
2019年度のランキングで第2位だった「コミュニケーション」は、2017年や2018年のランキングでも第1位の困りごとでした。
【コミュニケーションに困った外国人の割合】
- 2017年:26.1%
- 2018年:20.6%
- 2019年:17.0%
徐々に割合は減っていますが、同じく公共交通機関の利用もランクインしていることから、訪日外国人への公共交通機関における対応はまだまだ十分でないことがわかります。
とはいえ、どのような公共交通機関で外国人が困っているのかは、なかなかわかりにくいですよね。
そこで次は、外国人観光客が公共交通機関で困る場面や理由について、お伝えします。
外国人観光客が日本の「公共交通機関」で困る場面や理由
外国人観光客が困っている公共交通機関について、
- 利用した際に困った公共交通機関のランキング
- 利用した公共交通機関で困った場面
- 利用した公共交通機関で困った理由
を解説します。
ここからのデータは、観光庁が2018年に実施した公共交通機関に関するアンケートを参考にしています。
出典:観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート結果」
https://www.mlit.go.jp/common/001281549.pdf
利用した際に困った公共交通機関のランキング
外国人観光客が旅行中に利用した公共交通機関のランキング(利用率)は以下のとおりです。
- 1位:在来線(新幹線以外の鉄道)(76.1%)
- 2位:バス(55.5%)
- 3位:新幹線(40.2%)
- 4位:タクシー(29.6%)
- 5位:航空機(国内線)(9.4%)
国別の利用状況では
- 台湾
- 韓国
からの外国人旅行客は他国の旅行者よりもバスの利用率が高くなっています。
また、
- 韓国
- ヨーロッパ
- オーストラリア
- アメリカ
からの外国人利用客はタクシーの利用率が他国よりも高いという結果に。
さらに、利用した際に困った公共交通機関のランキングは以下のとおりです。
- 1位:在来線(新幹線以外の鉄道)(22.7%)
- 2位:バス(20.7%)
- 3位:新幹線(16.6%)
- 4位:レンタカー(12.1%)
- 5位:タクシー(12.0%)
上記2つのランキングから利用率の高い
- 在来線(新幹線以外の鉄道)
- バス
- 新幹線
の公共交通機関3つで外国人観光客が特に困っていることがわかります。
利用した公共交通機関で困った場面
外国人旅行客は旅行中の公共交通機関で、下記8つの場面で困ったと回答しています。
- 多言語表示の少なさ・わかりにくさ(60.2%)
- 無料公衆無線LAN(55.5%)
- 施設などのスタッフとのコミュニケーション(47.5%)
- トイレの利用・場所・設備(44.9%)
- お金の両替(33.0%)
- クレジット・デビットカードの利用(30.6%)
- 多様な文化宗教への配慮(26.8%)
- ATMの利用(21.6%)
上記から、特に公共交通機関の多言語表示について困った外国人旅行客が多いことがわかります。
多言語対応はインバウンド対策において、有効な手段です。
多言語対の重要性や言語の優先順位について、詳しくは「多言語対応の優先順位は?インバウンド対策の優先度が高い言語をランキングで紹介」をご一読ください。
利用した公共交通機関で困った理由
特に困った利用者が多かった
- 新幹線
- 在来線
- バス
- タクシー
の公共交通機関4つにおいて、困った理由を尋ねたところ、以下のような回答になりました。
【新幹線】
- 多言語対応をしたルート検索用のウェブサイトやアプリがなかった(20.6%)
- どの列車に乗ればよいかわからなかった(7.9%)
- スタッフとのコミュニケーションが取れなかった(7.7%)
【在来線】
- 多言語対応をしたルート検索用のウェブサイトやアプリがなかった(23.4%)
- スタッフとのコミュニケーションが取れなかった(10.3%)
- どの列車に乗ればよいかわからなかった(8.1%)
【バス】
- 多言語対応をしたルート検索用のウェブサイトやアプリがなかった(24.3%)
- どのバスに乗ればよいかわからなかった(8.0%)
- スタッフとのコミュニケーションが取れなかった(6.3%)
【タクシー】
- 移動前に目的地の指定や移動中のトラブルへの対応がうまくできなかった(17.7%)
- タクシーが捕まらなかった、捕まえるのに時間がかかった(12.8%)
- 外国語対応のサービスがない、少ないと感じた(10.6%)
上記4つの公共交通機関で困った理由に共通して、多くの外国人が「コミュニケーション」に不満を感じていると回答しています。
コミュニケーションの対策が十分ではない理由は、「外国語を話せるスタッフの教育や採用が追いついていないから」です。
日本語と外国語を話せる「バイリンガル人材」の数は、まだまだそれほど多くはありません。また公共交通機関ではなかなか駅員や乗務員の教育に時間をかけることも難しいのが現状です。
コミュニケーションへの対策が追いつかないために、外国人観光客が「旅行を十分に楽しめない」など、ストレスを感じる結果につながっています。
ここまで外国人観光客が公共交通機関で困った場面や理由について、解説しました。
外国人の困りごとは、翻訳アプリやAIスピーカーなどのインバウンド対策を導入するのがおすすめです。
次で詳しく紹介しますね。
外国人観光客と円滑にコミュニケーションを取るための対策
外国人観光客への多言語対応として、
- 翻訳アプリやデバイスの導入
- AIスピーカーによる対応
- スタッフへの英語教育
の3つを紹介します。
対策1:翻訳アプリやデバイスを導入する
翻訳アプリやデバイスは、数十種類の言語に対応したものが多いです。
アプリは店舗のタブレットやスマホを活用することで、すぐに利用できます。
デバイスは初期費用が必要ですが、お客さまが伝えたいことをその場ですぐに翻訳できることも少なくありません。今まで数十分かけていた多言語での対応が、数分で終了することもあります。
飲食店や小売店、鉄道駅など、素早い対応を求められる事業者様におすすめです。
翻訳アプリや端末について、詳しくは「多言語音声翻訳でインバウンド対策できるアプリや端末まとめ」をご一読ください。
対策2:AIスピーカーを通して自動で翻訳する
ホテルなど宿泊施設では、AIスピーカーを導入するところが増えています。
AIスピーカーとは、多言語のチャットボットと連携している自動翻訳サービスのこと。お客さまがAIスピーカーに向かって話しかけることで、質問への回答や観光施設の案内などに自動で対応することが可能です。
AIスピーカーについて、詳しくは「シダックスが運営のホテルでAIスピーカーによる多言語対応がスタート。導入のメリットや差別化のポイントを解説します」をご一読ください。
対策3:スタッフへの英語教育に取り組む
時間とコストに余裕がある場合は、スタッフへの英語教育もおすすめです。
例えばココマナの英語学習サービス。ココマナは、サービス業界で働く人の英語力を測る試験「英語対応能力検定」に対応した教材を販売しています。
教材の充実やスマホアプリへの対応などが好評で、飲食業界や小売業界、鉄道業界などで導入されています。アプリからスキマ時間を使って勉強できるため、現場スタッフに負担がかかることもありません。
詳しくは「ココマナが英語対応能力検定の教材を提供。インバウンド対策へのメリットと成功事例を紹介します」をご一読ください。
外国人観光客が困ったことを解決して、さらなる集客と売上アップにつなげる
今回は外国人観光客が困ったことについて解説しました。
おさらいすると、外国人観光客は主に以下の5つに困っています。
- ゴミ箱の少なさ
- 施設スタッフとのコミュニケーション
- 公共交通機関の利用
- 多言語表示の少なさやわかりにくさ
- 無料の公衆無線LAN環境
特にコミュニケーションは、過去3年間のアンケートでも上位にランクインしていました。ランクインの背景には、「外国語を話せるスタッフの教育や採用が追いついていないこと」があります。
そして多言語対応の対策として、以下の3つを紹介しました。
- 翻訳アプリやデバイスの導入
- AIスピーカーによる対応
- スタッフへの英語教育
翻訳アプリの導入など、できることから始めてみることをおすすめします。
またランキングでは、コミュニケーションの次に「無料の公衆無線LAN環境」がランクインしていました。
Wi-Fi環境を整備するメリットや導入事例について、詳しくは「訪日外国人のために無料Wi-Fiが必要な理由とは?行政の業務と結びつけたバルセロナの事例も紹介」をご一読ください。